“摚(だう)” の例文
「うむ、」と一声(ひとこゑ)、摚(だう)と枯蘆(かれあし)に腰(こし)を落(おと)して、殆(ほと)んど痙攣(けいれん)を起(おこ)した如(ごと)く、足(あし)を投出(なげだ)してぶる/\と震(ふる)へて
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花、泉鏡太郎(著)
摚(だう)と衝き当つて二人共々重なり合ふ事もある。繁が大公孫樹の幹に打衝(ぶつつか)つて度を失ふ事もある。
葬列 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
打倒さんとするにぞ彌助は大に驚ろき逃出さんとして入口(いりぐち)の障子(しやうじ)に衝中(つきあた)り摚(だう)と倒れしかば此物音に驚き亭主八五郎は奧(おく)より馳(はせ)出(いで)來り先々御客さま御勘辨(ごかんべん)下されよ實は渠(かれ)が申通り今晩村の寄合御座候につき魚は餘分(よぶん)に仕入置しにより私し儀(ぎ)是に居て伺(うかゞ)ひ候はゞ御好通(おこのみどほ)り早速御酒も肴もさし上げ申べけれども何を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
其(そ)の苔蒸(こけむす)す欄干(らんかん)を葉(は)がくれに、桁(けた)を蔦蔓(つたづる)で埋(う)めたのが、前途(ゆくて)に目(め)を遮(さへぎ)るのに、橋(はし)の彼方(かなた)には、大磐石(だいばんじやく)に堰(せ)かれて、急流(きうりう)と奔湍(ほんたん)と、左(ひだり)より颯(さつ)と打(う)ち、右(みぎ)より摚(だう)と潜(くゞ)り、真中(まんなか)に狂立(くるひた)つて
十和田湖 (新字旧仮名) / 泉鏡花、泉鏡太郎(著)
呀(あ)ツと思はず声を出した時、かの声無き葬列は礑(はた)と進行を止めて居た、そして、棺を担いだ二人の前の方の男は左の足を中有(ちう)に浮(うか)して居た。其爪端(つまさき)の処に、彼(か)の穢(きた)ない女乞食が摚(だう)と許り倒れて居た。
葬列 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)