掻毟かきむし)” の例文
わしだんずることも出來でけうずれ、このやうに頭髮かみのけ掻毟かきむしって、ま此樣このやう地上ぢびたたふれて、まだらぬ墓穴はかあなしゃくることも出來でけうずれ!
私はもう掻毟かきむしられるような悶心地もだえごこちになって聞いておりますと、やがて御声はかすかになる。泣逆吃なきじゃくりばかりは時々聞える。時計は十時を打ちました。
旧主人 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
死物狂いで無茶苦茶に掻毟かきむしるから、此の土手の甚藏が手を放すと、新吉は逃げに掛る途端、腹這に倒れました。
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
この山代の湯ぐらいではらちあかねえさ。脚気かっけ山中やまなか、かさ粟津あわづの湯へ、七日湯治をしねえ事には半月十日寝られねえで、身体からだ掻毟かきむしって、目が引釣ひッつり上る若旦那でね。
みさごの鮨 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
もどかしいなア、チッバルトをころしをった彼奴あいつ肉體からだをば掻毟かきむしって、なつかしい/\從兄いとこへのこの眞情まごゝろすることも出來できぬか!
総身からだじゅうの血は一緒になって一時に御頭おつむりへ突きかかるようでした。もうもうこらえ切ないという御様子で、舌なめずりをして、御自分の髪の毛を掻毟かきむしりました。
旧主人 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
弱輩な申分もうしぶんですが、頭を掻毟かきむしるようになりまして、——時節柄、この不景気に、親の墓も今はありません、この土地へ、栄耀えようがましく遊びに参りましたのも、多日しばらく
菊あわせ (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
並勝なみすぐれて御人の好い旦那様ですから、どんなはげしい御腹立の時でも、面と向ってはひとにそれを言得ないのでした。旦那様は御自分の髪の毛を掻毟かきむしって、畳をって御出掛おでましになりました。
旧主人 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
ロミオ頭髮かみのけ掻毟かきむし仰向あふむけたふれてなげく。此時このときおくにてたゝおと