挙動ふるまひ)” の例文
旧字:擧動
坊主ばうず自分じぶんむかつておなことたのを、フト思出おもひだしたのが、ほとんど無意識むいしき挙動ふるまひた。トすくなからず一同いちどうおどろかして、みなだぢ/\とつて退すさる。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
匹夫ひつぷ野人やじんの如く飽くまで纏綿つきまとつて貴嬢を苦め申す如き卑怯ひけふ挙動ふるまひは、誓つて致しませぬ、——何卒、梅子さん、只だ一言判然はつきりおつしやつて下ださい
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
そのはだの色の男に似気無にげなく白きも、その骨纖ほねほそに肉のせたるも、又はその挙動ふるまひ打湿うちしめりたるも、その人をおそるる気色けしきなるも、すべおのづか尋常ただならざるは、察するに精神病者のたぐひなるべし。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
唯さへおもしろからぬ此頃余計な魔がさして下らぬ心づかひを、馬鹿〻〻しき清吉めが挙動ふるまひのために為ねばならぬ苦〻しさに益〻心平穏おだやかならねど、処弁さばく道の処弁かで済むべき訳も無ければ
五重塔 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
如何どうした突嗟とつさの心の変化か、考へて見ても解らないの、矢ツ張り私の心が、うらみいかりに満たされて居たので、其れであゝした卑怯な挙動ふるまひに出たのですねエ——今朝からネ、一人で聖書を読んだり
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)