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さしものし
ふりがな文庫
“
指物師
(
さしものし
)” の例文
あらゆる作家は一面には
指物師
(
さしものし
)
の面目を具へてゐる。が、それは恥辱ではない。あらゆる指物師も一面には作家の面目を具へてゐる。
侏儒の言葉
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
兼
(
かね
)
てからわが座敷の
如何
(
いか
)
にも殺風景なのを苦に病んでいた彼は、すぐ
団子坂
(
だんござか
)
にある
唐木
(
からき
)
の
指物師
(
さしものし
)
の所へ行って、
紫檀
(
したん
)
の
懸額
(
かけがく
)
を一枚作らせた。
道草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
これは
享和
(
きょうわ
)
二年に十歳で
指物師
(
さしものし
)
清兵衛
(
せいべえ
)
の弟子となって、
文政
(
ぶんせい
)
の初め廿八歳の頃より名人の名を得ました、
長二郎
(
ちょうじろう
)
と申す指物師の伝記でございます。
名人長二
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「ひとつ考えてみよう、そうさ、これはずっと昔の話だが、大工だか
指物師
(
さしものし
)
だかの職人がいた、女房も子供もあり、たしか母親もあったと聞いたが」
季節のない街
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
指物師
(
さしものし
)
となかまの人たちは、
夜
(
よ
)
のふけるまでにぎやかにさわいでいましたが、やがて、みんなはねむりにつきました。わかい
職人
(
しょくにん
)
も
寝床
(
ねどこ
)
にはいりました。
「テーブルよ、ごはんの用意」と、金貨をうむロバと、「こん棒、ふくろから」
(新字新仮名)
/
ヤーコプ・ルートヴィッヒ・カール・グリム
、
ヴィルヘルム・カール・グリム
(著)
▼ もっと見る
「タイメイ」という人は若い
指物師
(
さしものし
)
で、やはり東京に何年か出ていたのだが、病気で帰っているという。
石ころ路
(新字新仮名)
/
田畑修一郎
(著)
家の人たち——
指物師
(
さしものし
)
の老夫婦とその息子は、いぶかしげにじろじろとアリョーシャを見まわした。
カラマゾフの兄弟:01 上
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
王妃は、お附きの
指物師
(
さしものし
)
に言いつけて、私の寝室になるような、一つの箱を作らせになりました。
ガリバー旅行記
(新字新仮名)
/
ジョナサン・スウィフト
(著)
網の目のように入り乱れたその騒々しい小路は、流言
蜚語
(
ひご
)
で満たされた。人々はできるだけの武装をした。ある
指物師
(
さしものし
)
らは、「戸を破るため」に仕事台の
鉤金
(
かきがね
)
を持ち出した。
レ・ミゼラブル:07 第四部 叙情詩と叙事詩 プリューメ街の恋歌とサン・ドゥニ街の戦歌
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
車屋に沿うて曲って、美術床屋に沿うて曲ると、菓子屋、おもちゃ屋、八百屋、
鰻
(
うなぎ
)
屋、古道具屋、皆変りはない。去年穴のあいた机をこしらえさせた下手な
指物師
(
さしものし
)
の店もある。
車上の春光
(新字新仮名)
/
正岡子規
(著)
○十一月、新富座にて円朝の「
指物師
(
さしものし
)
名人長次」を脚色して上演。菊五郎の長次、好評。
明治演劇年表
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
死んだ父親は
指物師
(
さしものし
)
だったが、無器用だから、あとを継ぐ見込みはないし、一年おくれて、母親もあとを追い、天涯孤独となった八五郎は、藤沢の
遊行寺
(
ゆぎょうじ
)
へ遺骨を納めにゆく途中
胡堂百話
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
指物師
(
さしものし
)
がいろいろな製作をしましても、一時的な飾り物で、決まった形式を必要としないものは、しゃれた形をこしらえたものなどに、これはおもしろいと思わせられて、いろいろなものが
源氏物語:02 帚木
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
指物師
(
さしものし
)
のランツという名前を考えだし、——この名前を思いついたのは、グルゥバッハ夫人の甥の大尉がそういう名前だったからだが——ここに指物師のランツという人が住んでいませんか
審判
(新字新仮名)
/
フランツ・カフカ
(著)
指物師
(
さしものし
)
四二 五—七 一五四 八一 二〇四 二九二八
貧乏物語
(新字新仮名)
/
河上肇
(著)
あらゆる作家は一面には
指物師
(
さしものし
)
の面目を
具
(
そな
)
えている。が、それは恥辱ではない。あらゆる指物師も一面には作家の面目を具えている。
侏儒の言葉
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
世の中はそう思っておりません。
何
(
なん
)
の小説家がと、小説家をもってあたかも
指物師
(
さしものし
)
とか
経師屋
(
きょうじや
)
のごとく単に筆を
舐
(
ねぶ
)
って衣食する人のように考えている。
文芸の哲学的基礎
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
いちばん上のむすこは、ある
指物師
(
さしものし
)
のところへ
年季奉公
(
ねんきぼうこう
)
にいったのでした。そこで、むすこはいっしょうけんめい、うまずたゆまずしごとをおぼえました。
「テーブルよ、ごはんの用意」と、金貨をうむロバと、「こん棒、ふくろから」
(新字新仮名)
/
ヤーコプ・ルートヴィッヒ・カール・グリム
、
ヴィルヘルム・カール・グリム
(著)
「文次だ」と彼は押っかぶせるように云った、「職は
指物師
(
さしものし
)
、名めえは文次、わかったか」
あすなろう
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
若い
指物師
(
さしものし
)
で、
鑿
(
のみ
)
と縁があるだけに此處は容易ならぬ匂ひがするのです。
銭形平次捕物控:201 凉み船
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「早く入れてもらえよ。」とひとりの織り物工が
指物師
(
さしものし
)
に言った。
レ・ミゼラブル:07 第四部 叙情詩と叙事詩 プリューメ街の恋歌とサン・ドゥニ街の戦歌
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
あくる朝、
指物師
(
さしものし
)
は
宿賃
(
やどちん
)
をはらって、あのテーブルを
背中
(
せなか
)
にしょいました。もちろん、にせものをもっていようなどとは
夢
(
ゆめ
)
にも知らず、
旅
(
たび
)
をつづけていきました。
「テーブルよ、ごはんの用意」と、金貨をうむロバと、「こん棒、ふくろから」
(新字新仮名)
/
ヤーコプ・ルートヴィッヒ・カール・グリム
、
ヴィルヘルム・カール・グリム
(著)
指物師
(
さしものし
)
が百円に負けて置くから買わないかといった立派な
紫檀
(
したん
)
の書棚をじろじろ見ながら、彼はその二十分の一にも足らない代価を大事そうに懐中から出して
匠人
(
しょうにん
)
の手に渡した。
道草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「今夜は、私の
甥
(
おい
)
の初七日でございましてな」と、老人は歩きながら云った、「腕のいい
指物師
(
さしものし
)
で、年は二十八でしたよ、男っぷりがいいもんですから、ずいぶん娘っ子に騒がれたもんですが、 ...
花も刀も
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
「だってあれは、京橋白魚河岸の、
指物師
(
さしものし
)
で」
あすなろう
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
“指物師”の意味
《名詞》
指物師 (さしものし)
指物を作る工匠。
(出典:Wiktionary)
指
常用漢字
小3
部首:⼿
9画
物
常用漢字
小3
部首:⽜
8画
師
常用漢字
小5
部首:⼱
10画
“指物”で始まる語句
指物
指物屋
指物細工
指物職
指物大工
指物工場