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打水
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うちみず
ふりがな文庫
“
打水
(
うちみず
)” の例文
なるほど門人種員の話した通り
打水
(
うちみず
)
清き
飛石
(
とびいし
)
づたい、日を
避
(
よ
)
ける夕顔棚からは大きな
糸瓜
(
へちま
)
の三つ四つもぶら下っている中庭を隔てて
散柳窓夕栄
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
打水
(
うちみず
)
をした庭の縁を二人三人の足音がして、白地の
筒袖
(
つつっぽ
)
の
浴衣
(
ゆかた
)
を着た菊五郎が書生流に歩いて来ると、そのあとに
楚々
(
そそ
)
とした夏姿の二人。
一世お鯉
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
下には
張物板
(
はりものいた
)
のような細長い庭に、細い竹が
疎
(
まばら
)
に生えて
錆
(
さ
)
びた
鉄灯籠
(
かなどうろう
)
が石の上に置いてあった。その石も竹も
打水
(
うちみず
)
で皆しっとり
濡
(
ぬ
)
れていた。
行人
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
本郷元町
(
ほんごうもとまち
)
に土蔵構えのかなりな呉服屋があって、番頭小僧とも十人ほどの頭が見え、「山岡屋」と染め抜いた
暖簾
(
のれん
)
の前では小僧がしきりに
打水
(
うちみず
)
をやっていると
大菩薩峠:01 甲源一刀流の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
手入れもろくにしない自然なままな庭さきの
打水
(
うちみず
)
に、ほっと、心を放つと共に、おもわず日頃のおもいが、弟子の山楽にむかって、口から
愚痴
(
ぐち
)
のように出たのであった。
新書太閤記:11 第十一分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
▼ もっと見る
鞍馬と御影の
飛石
(
とびいし
)
に
敷松葉
(
しきまつば
)
から霜除けの
飾縄
(
かざりなわ
)
、
打水
(
うちみず
)
を致し洗い上げてあります、
土廂
(
どびさし
)
が深くなっている六畳の茶の間が有りまして、
其処
(
そこ
)
に杢左衞門が坐って居りまして
塩原多助一代記
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
日暮の
打水
(
うちみず
)
のまだ乾かぬ茶屋の
葭簀
(
よしず
)
も
青薄
(
あおすすき
)
、
婦
(
おんな
)
の姿もほのめいて、穂に出て招く風情あり。
浮舟
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
打水
(
うちみず
)
に
暫
(
しばら
)
く藤の
雫
(
しずく
)
かな
五百句
(新字旧仮名)
/
高浜虚子
(著)
「この
打水
(
うちみず
)
したあとへ、蛍が飛んだら、どんなに涼しかろ。於菊、蛍をつかまえておいで」
黒田如水
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
蚊遣
(
かやり
)
の
烟
(
けむり
)
になお
更
(
さら
)
薄暗く思われる
有明
(
ありあけ
)
の
灯影
(
ほかげ
)
に、
打水
(
うちみず
)
の乾かぬ小庭を眺め、隣の二階の三味線を
簾越
(
すだれご
)
しに聴く心持……東京という町の生活を最も美しくさせるものは夏であろう。
夏の町
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
時は夏五月、日盛りは過ぎたが、
葭簾
(
よしず
)
の蔭で、地はそんなに焼けてもいなかったのに
打水
(
うちみず
)
が充分に
沁
(
し
)
みて、お山から吹き下ろす神風が
懷
(
ふところ
)
に入る時は春先とも思うほどの
心地
(
ここち
)
がします。
大菩薩峠:04 三輪の神杉の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
新道にはまだ片かげがあって
打水
(
うちみず
)
に地面がしっとりとしている。
旧聞日本橋:14 西洋の唐茄子
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
此方
(
こなた
)
を見ながらにこにこ嬉しそうに笑いながら車を下りるや
否
(
いな
)
や、
打水
(
うちみず
)
のしてある線路の敷石をば、
蹴出
(
けだ
)
しの間から白い
脛
(
はぎ
)
を見せるまでにぱっと大股にまたいで、慶三の傍にスタスタと歩み寄り
夏すがた
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
妻子は、
国許
(
くにもと
)
へおいてあるので、元よりここは、男手と雇い女がいるばかり。——でも、
宿直
(
とのい
)
でない夕方には、彼の帰邸をおそしと待って、赤い門から玄関までの笹むらには、
打水
(
うちみず
)
の露が光っていた。
宮本武蔵:07 二天の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“打水(打ち水)”の解説
打ち水(うちみず)は、道や庭先などに水をまくこと。また、その水のこと。打水とも。
(出典:Wikipedia)
打
常用漢字
小3
部首:⼿
5画
水
常用漢字
小1
部首:⽔
4画
“打”で始まる語句
打
打擲
打棄
打捨
打殺
打倒
打明
打付
打笑
打毀