手水てうづ)” の例文
そして台所で手水てうづを使つてゐる中に、そこにゐた人々の話から、火事の原因が小使の過失らしい噂と、六角塔が瞬く間に焼け落ちて
父の死 (新字旧仮名) / 久米正雄(著)
いよい明日あす手術しゆじゆつといふは、みんな寝静ねしづまつてから、しく/\のやうにいてるのを、手水てうづきたむすめつけてあまりの不便ふびんさにいててやつた。
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
さて其夜も白々ほの/″\と明渡りけるに大勢の客人共は皆々一同に起出おきいでうが手水てうづつかうゆゑ後藤半四郎も同じく起出おきいでうが手水てうづ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
どうかすると茂兵衞をやり過すために、手水てうづ場の戸の蔭に、一寸身を隱したかも知れない。兎も角も際どい藝當だ
手水てうづを使ひ、念にも念を入れて著換をして、例のザポロージェ人から貰つた衣裳を身につけ、長持の中からポルタワへ行つた折に買つて来たまま、まだ一度もかぶらない
次に壽阿彌の奇行がをさなかつた刀自に驚異の念をさしめたことがある。それは壽阿彌が道にいばりする毎に手水てうづを使ふ料にと云つて、常に一升徳利に水を入れて携へてゐた事である。
寿阿弥の手紙 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
一番鶏二番鶏を耳たしかに聞て朝も平日つねよりははよう起き、含嗽うがひ手水てうづに見ぬ夢を洗つて熱茶一杯に酒の残り香を払ふ折しも、むく/\と起き上つたる清吉寝惚眼ねぼれめをこすり/\怪訝顔してまごつくに
五重塔 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
「はてね、まあ。お手水てうづですかしらん」
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
一 暁起、手水てうづ仕るべきこと。
上杉謙信 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
昨夜ゆうべは持病のかんでね、一と晩寢付けなくてマジマジしてゐたんだ。まるでこの私が金次を見張つてゐたやうなものだ。幾度手水てうづに起きたかまで知つてゐる」
相願はれ候如何いかゞはからひ申さんといふに天一坊はゆるすと計り言葉少なに言放せば大膳はかぎ取出し二品を取出し三寶さんばうのせ持出もちいで伊豆守殿の前に差置さしおくにぞ伊豆守殿初め重役の面々各々手水てうづして先御墨附を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
どうか臥むで居て下され、お湯ももう直沸きませうほどに含嗽うがひ手水てうづも其所で妾が為せてあげませう、と破土竃やぶれべつつひにかけたる羽虧はかけ釜の下焚きつけながら気を揉んで云へど、一向平気の十兵衞笑つて
五重塔 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
引つ切りなしに飮んで食つて、百萬遍も稱へて居たんですもの、拔け出す暇なんかありやしません。尤も、手水てうづ位には立つたでせうが、どんな長雪隱ながせつちんでも四半刻(三十分)と姿を
冠つて、踊りの輪に入つて踊りましたよ。その間笛が拔けたわけで、——もつとも伊三郎さんは、お腹が惡いのださうで、手水てうづに行く間ほんの四半刻もたゝないうちに戻つて來ましたが
「一寸も眼を離さなかつたらうな——手水てうづに立つとか、何とか」
手水てうづ場は遠いのか」