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ざれごと
ふりがな文庫
“
戯言
(
ざれごと
)” の例文
旧字:
戲言
いわんや酒を飲みたることなきは勿論、婦人に
戯言
(
ざれごと
)
を吐きたることなきは勿論、遊廓などに足蹈みしたる
様
(
さま
)
は一向に見受け申さず候。
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
情熱の宿命を——浪漫主義作家の
戯言
(
ざれごと
)
を、彼は信じていなかった。戦うべき義務と力とを信じていた。自分の意志の力を信じていた……。
ジャン・クリストフ:11 第九巻 燃ゆる荊
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
『万葉集』には
志斐嫗
(
しいのおうな
)
というのが
戯言
(
ざれごと
)
で持統女帝の御相手を申しあげているが、そうした役の女房が後宮にも必要であった。
中世の文学伝統
(新字新仮名)
/
風巻景次郎
(著)
彼が、他愛のないいちゃつきの
戯言
(
ざれごと
)
と読んだあの筆談の文字は、じつは心中を決意した二人の純粋な愛情の言葉だった。
赤い手帖
(新字新仮名)
/
山川方夫
(著)
たった一夜の、かりそめの
戯言
(
ざれごと
)
が、人間幾人の命を棒に振って、こんな恐ろしい
破局
(
カタストロフィー
)
にまで導いてしまったのです。
銭形平次捕物控:081 受難の通人
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
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彼の言は、
戯言
(
ざれごと
)
である。けれども、実際わたくしとしては、その当時が死すべきときであったかも知れぬ。
死刑の前
(新字新仮名)
/
幸徳秋水
(著)
酒がいわせる一場の
戯言
(
ざれごと
)
ではなさそうだ。胸いッぱいな
自暴
(
やけ
)
と、虚無と、泣きたいような悔いを吐くために、お島は、酔えるだけ酔おうとしているらしいのである。
大岡越前
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
昇はさして変らず、尚お折節には
戯言
(
ざれごと
)
など云い掛けてみるが、云ッても、もウお勢が相手にならず、勿論嬉しそうにも無く、ただ「知りませんよ」と
彼方
(
あちら
)
向くばかり。
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
何さま幾十年を黒部の山谷に過した助七のことである。気まぐれの
戯言
(
ざれごと
)
が其儘地名となったものも少くあるまい。滝倉谷の奥にある駒ヶ岳なども、形が
独楽
(
こま
)
に似ているので付けた名だそうだ。
黒部川を遡る
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
答へて曰く、固より梅が香を歌に詠まれぬといふ訳は少しもなけれど、余り陳腐なる歌多き故、前に
戯言
(
ざれごと
)
を放ちたるなり。趣味あるやうに、陳腐ならぬやうに詠まば、梅が香も好題目なるべし。
人々に答ふ
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
不思議にも、その偉大さとその
滑稽
(
こっけい
)
さとは親しく隣合い、その威厳はその
戯言
(
ざれごと
)
から少しも乱さるることなく、同じ一つの口が、今日は最後の審判のラッパを吹き、明日は
蘆笛
(
あしぶえ
)
を吹き得るのである。
レ・ミゼラブル:06 第三部 マリユス
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
「旦那様、若松屋が、あなたさまが身代限りをなすったというのは、それはいったいどういうことでございますか。お
戯言
(
ざれごと
)
でございませんければ、どうぞわけを、お聞かせなすってくださりませ」
巷説享保図絵
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
お光は今迄にもまして
人中
(
ひとなか
)
に出るを厭がり、男などが
戯言
(
ざれごと
)
云いかけても、ふいと
側
(
わき
)
を向いてしまう。其のかわり
両親
(
ふたおや
)
には今迄にもまして孝行をする。口数はきかないが、それはそれは
細
(
こまか
)
に心をつける。
漁師の娘
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
口々に坑夫達は
戯言
(
ざれごと
)
を云って坑道の方へ歩いて行った。
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
あるいは小児の
戯言
(
ざれごと
)
のごとくに見えるやもしれぬ。
脳髄の進化
(新字新仮名)
/
丘浅次郎
(著)
その沈黙にびっくりして、彼は頭をあげ、その面白い
戯言
(
ざれごと
)
をふたたび言ってやろうとした。すると彼の眼はゴットフリートの顔に出会った。
ジャン・クリストフ:03 第一巻 曙
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
何も知らぬから、昇、例の如く、好もしそうな眼付をしてお勢の顔を視て、
挨拶
(
あいさつ
)
よりまず
戯言
(
ざれごと
)
をいう、お勢は
莞爾
(
にっこり
)
ともせず、真面目な挨拶をする、——かれこれ
齟齬
(
くいちが
)
う。
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
神楽の闇夜の
篝火
(
かがりび
)
のそばで、採り物の歌の後、御酒をいただいた楽人たちがたくらんだ
戯言
(
ざれごと
)
と同じ性質の笑い言が、清女の筆を通して文学の形を取り得た頃、同じように
中世の文学伝統
(新字新仮名)
/
風巻景次郎
(著)
「くれぐれも、こよいのことは、水にながされよ。——北ノ庄殿へはわしから申した。なんの、大腹な筑前どののこと、若い者の
一場
(
いちじょう
)
の
戯言
(
ざれごと
)
などに気を悪うするものかと」
新書太閤記:08 第八分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
髪の毛をどうしたかと尋ねたり、メルキオルの露骨な
戯言
(
ざれごと
)
に乗せられて
禿
(
はげ
)
をたたくぞとおどかしたりしながら、彼らはいつもそのことで彼をからかって
倦
(
あ
)
きなかった。
ジャン・クリストフ:03 第一巻 曙
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
「
戯言
(
ざれごと
)
とおききあるな。じつを申そう。仕儀はかようなわけでおざった」
私本太平記:01 あしかが帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
とくに老人の方は、他人が示してくれる尊敬にいたく感じやすくて、気分を和げられた。彼らはルイザがそばで顔を真赤にするほどひどい
戯言
(
ざれごと
)
を浴せかけて、それで満足していた。
ジャン・クリストフ:03 第一巻 曙
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
「戦場に
戯言
(
ざれごと
)
はございません」
新書太閤記:04 第四分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「——軍中に
戯言
(
ざれごと
)
なしです」
三国志:05 臣道の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
戦場に
戯言
(
ざれごと
)
はない!
新書太閤記:04 第四分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“戯言”の意味
《名詞》
戯言(ぎげん、ざれごと、たわごと)
冗談。戯れの言葉。
(出典:Wiktionary)
戯
常用漢字
中学
部首:⼽
15画
言
常用漢字
小2
部首:⾔
7画
“戯”で始まる語句
戯
戯談
戯作
戯作者
戯曲
戯弄
戯謔
戯場
戯奴
戯画