成長おほき)” の例文
その墓の一つを母親がゆびさして『これがお前のおとつさんのお墓だよ。おとつさんは此処こゝるんだよ。成長おほきくなつたら、行つて御覧?』
父の墓 (新字旧仮名) / 田山花袋(著)
今朝けさつたところくらみちだのあぶないはしだのが澤山たくさんあつて、大佐たいさ叔父おぢさんやこの叔父おぢさんのやうに、成長おほきひとでなければけないところ日出雄ひでをさんのやうちいさいひとくと
給仕は成長おほきくなるに連れて、ぐん/\出世をした。タフト氏が大統領をしてゐた頃、この給仕を大蔵省の秘書に抜擢ばつてきしようとしたが、給仕はかぶりをふつて承知しなかつた。
ひと奧樣おくさまたまわたしにはお兄樣にいさまとお前樣まへさまばかりがたよりなれど、れよりもわたしはお前樣まへさまきにて、何卒どうぞいつまでもいまとほ御一處ごいつしよりたければ、成長おほきくなりておやしき出來できとき
暁月夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
『三十年前、それでは私などもまだ此処に来てゐない時分だ……私が三田さんと一緒に此寺で成長おほきくなつたのは、二十二三年前のことですから。』
百日紅 (新字旧仮名) / 田山花袋田山録弥(著)
成長おほきくなるにつれて「官僚」と野合なれあつて、原敬さんのやうな頭の白い赤ん坊を生むだ今日こんにち、板垣氏がみづはなを啜りながら、湯沸サモワルをお友達としてゐるに不思議はないやうに思ふ人があるかも知れないが
『お前なぞは男だから、成長おほきくなつたら、いくらでもお墓まゐりが出来るけれど、わたしなどは女だから、ねえおつかさん。……でも、一生に一度はおまゐりしたい!』
父の墓 (新字旧仮名) / 田山花袋(著)
『始めからさううまい訳には行かないぢや……』笑つて見せて、『けれど、正公しやうこう成長おほきくなつたし、定公さだこうも学問が出来るから、おていさん、もう安心なもんぢゃ。これからはらくが出来る』
(新字旧仮名) / 田山花袋(著)
成長おほきくなつてから、わたし幾度いくどその手帳を見たことがある。
父の墓 (新字旧仮名) / 田山花袋(著)