快楽かいらく)” の例文
旧字:快樂
彼女は、意志の弱い男性を、グン/\自分の思い通に、引き廻すことが、彼女の快楽かいらくの一つであるかのように云った。
真珠夫人 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
少年時代の快楽かいらく——詠唱曲アリア三拍子曲ミニュエット円舞曲ワルツ行進曲マーチ。ジャン・クリストフ・クラフト作品さくひんⅠ。
ジャン・クリストフ (新字新仮名) / ロマン・ロラン(著)
こういうあたいなしに務めるものがあればこそ、旅行中にも雨曝あまざらしのなんまぬかれる。こういう心がけのものが多ければ多きほど、人生なる旅路たびじは真の快楽かいらく幸福を増すものである。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
人間にんげんは、ただわがままで、無考むかんがえで、快楽かいらくっているとしかおもわれませんでした。まったくものかなしみというものをらないもののごとくにしかかんがえられませんでした。
縛られたあひる (新字新仮名) / 小川未明(著)
そうわけではいのです、それは貴方あなた苦痛くつうめて、わたくしめないということではないのです。せんずるところ苦痛くつう快楽かいらくうつくもので、そんなことはどうでもいいのです。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
来往らいおうつねならずして身を終るまで円満えんまん安心あんしん快楽かいらくはあるべからざることならん。
瘠我慢の説:02 瘠我慢の説 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
あるいは自分一個の快楽かいらくのみに金をついやしている者もすこぶる多きに驚かざるを得ない。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
これにって人智じんちは、人間にんげん唯一ゆいいつ快楽かいらくいずみとなつている。しかるに我々われわれ自分じぶん周囲まわりに、いささか知識ちしきず、かずで、我々われわれはまるで快楽かいらくうばわれているようなものです。勿論もちろん我々われわれには書物しょもつがある。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)