引取ひきとり)” の例文
引取ひきとりき親類方へあづけき其所にて萬事支度を整へ吉日を撰んで婚姻を取結とりむすぶ可し光は天晴の者なれば此度は斯云かくいふ越前守冰人なかうどなりて取すれば早々婚姻を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
其の時にお熊はなんでもおたねはらんで居たがね、屋敷は潰れたから、仕方がねえので深川へ引取ひきとり、跡は御家督ごかとくもねえお前さんばかり、ちょうどお前が三歳みっつの時だが
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
大阪おおさか俳優中村福円なかむらふくえん以前もと住居すまいは、鰻谷うなぎだにひがしちょうであったが、弟子の琴之助ことのすけが肺病にかかり余程の重態なれど、頼母たのもしい親族も無く難義なんぎすると聞き自宅へ引取ひきとりやりしが
枯尾花 (新字新仮名) / 関根黙庵(著)
今時分いまじぶん、こんなところへ、運動會うんどうくわいではありますまい。矢張やつぱ見舞みまひか、それとも死體したい引取ひきとりくか、どつちみちたのもしさうなのは、そのばあさんの、晃乎きらりむねけた、金屬製きんぞくせい十字架じふじかで。——
艶書 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
さあ、地獄の女神めがみ、子供とこの身とをお引取ひきとり下さい。
引取ひきとりかへり候途中にて召捕れ其節そのせつの隱居人手に懸りし事も承まはり重ね/″\大いに驚き申候と言立るを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
ひげするんではない、吾身わがみいやしめるんだ、うすると先方むかうでは惚込ほれこんだと思ふから、お引取ひきとり値段ねだんをとる、其時そのとき買冠かひかぶりをしないやうに、掛物かけものきずけるんだ。
にゆう (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
申と入牢の上拷問がうもん申付るぞと云れしに善右衞門はあをくなりハイかれは私しが實の娘にてはござりません伯父をぢむすめなれども兩親相果五歳より引取ひきとり養育やういく仕つりしと申立る故夫より伯父の名前を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)