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山峡
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やまかい
ふりがな文庫
“
山峡
(
やまかい
)” の例文
旧字:
山峽
山峡
(
やまかい
)
の
隘地
(
あいち
)
を出て、軍を返そうとすれば、たちまち、李傕や
郭汜
(
かくし
)
の兵が、沢や峰や渓谷の陰から、所きらわず出て来て戦を挑むからだった。
三国志:03 群星の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
その
玩具
(
おもちゃ
)
のような可愛い汽車は、落葉樹の林や、谷間の見える
山峡
(
やまかい
)
やを、うねうねと曲りながら走って行った。
猫町:散文詩風な小説
(新字新仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
両方から切立った峰のせまっているこの
山峡
(
やまかい
)
は、まだかすかに朝の光が動きはじめたばかりで、底知れぬ谷間から湧きあがる乳色の濃い霧は、
断崖
(
きりぎし
)
の肌を
濡
(
ぬ
)
らし
峠の手毬唄
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
やがて、日足のはやい秋の日暮れは、低いところから、樹林のなかや
山峡
(
やまかい
)
やから、
湧
(
わ
)
いて来た。
石狩川
(新字新仮名)
/
本庄陸男
(著)
水を
掠
(
かす
)
めて去来する
岩燕
(
いわつばめ
)
を眺めていると、あるいは
山峡
(
やまかい
)
の
辛夷
(
こぶし
)
の下に、
蜜
(
みつ
)
に
酔
(
よ
)
って飛びも出来ない
虻
(
あぶ
)
の
羽音
(
はおと
)
を聞いていると、何とも云いようのない寂しさが突然彼を襲う事があった。
素戔嗚尊
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
▼ もっと見る
不思議なことに向うの
山峡
(
やまかい
)
に突然黒い人間らしい者が、殆どそれは
胡麻粒
(
ごまつぶ
)
くらいの一行がうごいて、旅人のあとを追うているらしい、向い山のおなじ山稼ぎの
貝
(
かい
)
ノ
馬介
(
うますけ
)
の
追手
(
おって
)
であった。
舌を噛み切った女:またはすて姫
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
夕張の駅は
山峡
(
やまかい
)
にある。両側の山の
斜
(
なぞえ
)
には炭坑夫の長屋が雛段を見るように幾列も並んでいる。夜、雪の中にこの長屋に灯のついている光景を眺めることは、僕達に旅の愁いを催させたものである。
落穂拾い
(新字新仮名)
/
小山清
(著)
山峡
(
やまかい
)
である、ややうち開けた。
フレップ・トリップ
(新字新仮名)
/
北原白秋
(著)
袁紹は勢いに乗じて急追撃に移ったが、五里余りも来たかと思うと、突如、
山峡
(
やまかい
)
の間から、一
彪
(
ぴょう
)
の軍馬が打って出て
三国志:03 群星の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
本官らの下船をみとめて、家をもぬけに致し、くだんの
山峡
(
やまかい
)
に逃げこんでおりましたです、戦さは無常の風じゃと申しとります、生臭さ坊主の
親鸞
(
しんらん
)
めが、おどろくべし、津々浦々まで
石狩川
(新字新仮名)
/
本庄陸男
(著)
広子の
聯想
(
れんそう
)
はそれからそれへと、とめどなしに流れつづけた。彼女は汽車の
窓側
(
まどぎわ
)
にきちりと
膝
(
ひざ
)
を重ねたまま、時どき窓の外へ目を移した。汽車は
美濃
(
みの
)
の
国境
(
くにざかい
)
に近い
近江
(
おうみ
)
の
山峡
(
やまかい
)
を走っていた。
春
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
保吉は突然
身震
(
みぶる
)
いをしながら、クッションの上に身を起した。今もまたトンネルを通り抜けた汽車は苦しそうに煙を吹きかけ吹きかけ、
雨交
(
あめまじ
)
りの風に
戦
(
そよ
)
ぎ渡った
青芒
(
あおすすき
)
の
山峡
(
やまかい
)
を走っている。……
十円札
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
山峡
(
やまかい
)
の雪は、目立ってやわらかく、しかも深かった。カンジキは往々持ちあげ兼ねるほど深く、その雪に埋まるのである。片方の足を持ちあげると、他の足は重心を移されてずるずると沈んだ。
石狩川
(新字新仮名)
/
本庄陸男
(著)
山峡
(
やまかい
)
のあいだに見える屋根は
鰍沢
(
かじかざわ
)
の町だった。
新書太閤記:04 第四分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“山峡”の意味
《名詞》
山山に挟まれた谷間。
(出典:Wiktionary)
山
常用漢字
小1
部首:⼭
3画
峡
常用漢字
中学
部首:⼭
9画
“山”で始まる語句
山
山家
山路
山羊
山茶花
山間
山中
山谷
山毛欅
山車