山吹色やまぶきいろ)” の例文
はし段々だん/″\はいいてくとはらあたりかたまりがあつたから木と竹のはしでヅンと突割つきわるとなかから色もかはらず山吹色やまぶきいろ古金こきんが出るから、あはてゝ両方りやうはうたもとれながら。
黄金餅 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
覗くと中は幾千枚とも知れぬバラの小判、——その上に二つの千兩箱を載せて、土藏の薄暗い中にも、入口から射す光線を受けて、眞新しい山吹色やまぶきいろに光ります。
一人は西の方の築地ついじたたずみ、一人は東寄りの角の築地のかげに立っていた。一人が山梔子色くちなしいろの狩衣をつけていれば、一人は同じ山吹色やまぶきいろの折目正しい狩衣を着ていた。
姫たちばな (新字新仮名) / 室生犀星(著)
ふん、らねえッてもなァおッかねえや。おいらァげんにたったいま、この二つので、にらんでたばかりなんだ。山吹色やまぶきいろで二十五まい滅多めったられるかさじゃァねえて
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
此時天一坊の裝束しやうぞくには鼠琥珀ねずみこはく紅裏付こううらつきたる袷小袖あはせこそでの下には白無垢しろむくかさねて山吹色やまぶきいろ素絹そけんちやく紫斜子むらさきなゝこ指貫さしぬき蜀紅錦しよくこうにしき袈裟けさを掛け金作こがねづく鳥頭とりがしらの太刀をたいし手には金地の中啓ちうけいにぎ爪折傘つまをりがさ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
「今日は良い煙草がありますよ、この通り手刻みなんかぢやありません。毛のやうに細かくて山吹色やまぶきいろだ」
今一人が眞向まつかうよりざツくり切たる一太刀ひとたちに二言と云はず死してけり二人は血刀押拭おしぬぐひ先久しりの山吹色やまぶきいろと懷中へ手を入れてヤアないはコリヤどうぢやと二人は不審ふしんはれやらず猶も懷中を掻探かきさぐ財布さいふ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
「中味はかなり重かつたから、十兩や二十兩は入つてゐたかも知れない。極りが惡くなつて、死ぬのは思ひ止つたけれど、財布は返して逃げ出した。そのはずみに、橋の上に落ちて、小判が何枚か、バラバラと散つて、山吹色やまぶきいろに光つた——とこれもお葉の話で」