山北やまきた)” の例文
「アラマア、このがら山北やまきた鶴子つるこさんのだわ。村中でこの柄の着物持ってるのは、鶴子さんの外にありゃしないわ」
(新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
御殿場ごてんばにて乗客更に増したる窮屈さ、こうなれば日の照らぬがせめてもの仕合せなり。小山おやま山北やまきたも近づけば道は次第上りとなりて渓流脚下に遠く音あり。
東上記 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
「それはおしかったネ、素晴らしい葬送行進曲ヒューネラル・マーチだったよ。山北やまきたさんなんか、ポロポロ泣いて居た——」
葬送行進曲 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
酒匂川筋の山北やまきた停車場や、吉田島や国府津こうづ停車場で売っている鮎のすしが評判なのもそのためです。
食道楽:秋の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
もしたましひ拔出ぬけいでたらんか、これ一顆いつくわ碧眞珠へきしんじゆに、露草つゆくされるなるべし。ひともしあだあらば、みなやいばつてかたきたん。靈山れいざん汽車きしやせまれり。——山北やまきた——山北やまきた——
婦人十一題 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
香美かがみ山北やまきたの社に祀る神石も、昔この村の人が京の吉田神社に参詣して、神楽岡かぐらおかの石を戴いて帰って来たのが、おいおいに成長したのだといっております。(土佐海続編。高知県香美郡山北村)
日本の伝説 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
山北やまきた山北やまきた。——あゆすしは——賣切うりきれ。……おちやも。——もうない。それもわびしかつた。
雨ふり (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
阿部川あべかはへば、きなこもちとばかり心得こゝろえ、「贊成さんせい。」とさきばしつて、大船おほふなのサンドヰツチ、國府津こふづ鯛飯たひめし山北やまきたあゆすしと、そればつかりをあてにして、みなつてべるつもりの
雨ふり (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)