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ふりがな文庫
“
尻込
(
しりご
)” の例文
「いや、もう沢山、もう沢山」長造は、そのお面みたいなものを、弦三が本気で
被
(
かぶ
)
せそうな様子を見てとって、
尻込
(
しりご
)
みしたのだった。
空襲葬送曲
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
「は!」といったものの
尻込
(
しりご
)
みをした。答えそこなって、以後注意、落第だよ。出世しまい! などといわれるのがこわかったからだ。
剣侠受難
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
皆
尻込
(
しりご
)
みして、通禧を推した。通禧だけが西洋人の顔を見ているというわけで。彼なら西洋人の意気込みも知っているだろうからというわけで。
夜明け前:03 第二部上
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
「さあ。おあがり。さあ。」と私は、この久し振りの周さんの来訪に胸を躍らせ、玄関に飛んで出て歓迎したが、周さんは、へんに
尻込
(
しりご
)
みして
惜別
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
「虫でがすかい! ウィル旦那。——あの黄金虫でがすかい!」とその黒人は恐ろしがって
尻込
(
しりご
)
みしながら叫んだ。
黄金虫
(新字新仮名)
/
エドガー・アラン・ポー
(著)
▼ もっと見る
どっちみち
碌
(
ろく
)
なことはあるまいと恐れを
抱
(
いだ
)
いていただけに「聴いてやろう」と云われるとかえって
尻込
(
しりご
)
みをした。
春琴抄
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
三毛は毒虫にでもさわられたかのように、驚いて
尻込
(
しりご
)
みする。それを追いすがって行ってはまた片足を上げる。
ねずみと猫
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
しかし三味線ときくと皆が
尻込
(
しりご
)
みをするので、適当な実験助手が得られなくてそのままになっていた。
寺田先生の追憶:――大学卒業前後の思い出――
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
おうむ返しにいって、向うの土手にゴロついていた者が、いっせいに起き上がって来たから、宅助は
尻込
(
しりご
)
みして、あとの言葉を忘れ、ただ目ばかりをしばたたいている。
鳴門秘帖:04 船路の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
……なあ、そうではないか?……まあ、今度は俺は局外者だから、あまりこんなことは云いたくないが、……とにかく、なんだよ、貴様のは、それは単純なる弱気だ。
卑怯
(
ひきょう
)
な
尻込
(
しりご
)
みだ。
なよたけ
(新字新仮名)
/
加藤道夫
(著)
ハステラーは相手を説き伏せることができないと、少なくとも相手を恐怖におとしいれるのだ、という印象をKは受けたが、彼が人差指を立てるだけで多くの人々は
尻込
(
しりご
)
みするのだった。
審判
(新字新仮名)
/
フランツ・カフカ
(著)
正太顔を赤くして、何だお六づらや、喜い公、何処が好い者かと釣りらんぷの下を少し
居退
(
ゐの
)
きて、
壁際
(
かべぎわ
)
の方へと
尻込
(
しりご
)
みをすれば、それでは美登利さんが好いのであらう、さう極めて御座んすの
たけくらべ
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
と脈も
執
(
と
)
らぬさきから
尻込
(
しりご
)
みするには心細い思いがした。
葛根湯
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
女は
尻込
(
しりご
)
みして、ニヤニヤ笑いながら、かぶりを振った。
いずこへ
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
彼等
(
かれら
)
は
眩
(
まぶ
)
しさに
尻込
(
しりご
)
みばかりしてゐた。
死刑
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
そういうことは、彼等がよく知っているから、自然
尻込
(
しりご
)
みをしてサ、実際現れる飛行機はそのまた三分の一で、二百機サ。
空襲葬送曲
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
岩瀬肥後はそれを成した人だ。最初の米国領事ハリスが来航して、いよいよ和親貿易の交渉を始めようとした時、幕府の有司はみな
尻込
(
しりご
)
みして、一人として
背負
(
しょ
)
って立とうとするものがない。
夜明け前:01 第一部上
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
お六さんの
眼
(
め
)
つきか、
喜
(
き
)
いさんの
清元
(
きよもと
)
か、まあ
何
(
ど
)
れをえ、と
問
(
と
)
はれて、
正太
(
しようた
)
顏
(
かほ
)
を
赤
(
あか
)
くして、
何
(
なん
)
だお六づらや、
喜
(
き
)
い
公
(
こう
)
、
何處
(
どこ
)
が
好
(
い
)
い
者
(
もの
)
かと
釣
(
つ
)
りらんぷの
下
(
した
)
を
少
(
すこ
)
し
居退
(
ゐの
)
きて、
壁際
(
かべぎは
)
の
方
(
はう
)
へと
尻込
(
しりご
)
みをすれば
たけくらべ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
僕は不安になったが、ここで
尻込
(
しりご
)
みしていたのではしょうがないから、思い切って腰を曲げると、はね橋のようにはねあがったゆかをくぐって、地下への階段をふんだ。
海底都市
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
入口ががたりと開いて、どやどやと一隊の人が
雪崩
(
なだれ
)
こんだ。その先登には、妻君の横にいた美男子がいたが、乃公の顔をみると、ぎょっと
尻込
(
しりご
)
みをして、大勢の後に隠れた。
不思議なる空間断層
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
番人は
尻込
(
しりご
)
みをした。その結果、どうしても私が行かねばならなくなった。
ゴールデン・バット事件
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
学生上りが、いらいらと
促
(
うなが
)
すのを、
臆病
(
おくびょう
)
そうに老人が
尻込
(
しりご
)
みした。
電気風呂の怪死事件
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
きかされても、
尻込
(
しりご
)
みをしませんよ。国家へ忠誠をちかいます
地底戦車の怪人
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
見物人は顔色をかえて、後へ
尻込
(
しりご
)
みをするのだった。
○○獣
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
松永は
駭
(
おどろ
)
いて
尻込
(
しりご
)
みをした。
俘囚
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
尻
常用漢字
中学
部首:⼫
5画
込
常用漢字
中学
部首:⾡
5画
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尻込み