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小笠
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をがさ
いづれも
小笠のひさしをすゑ、
脚半を
輕く、しつとりと、
拍子をふむやうにしつゝ
聲にあやを
打つてうたつたが……うたつたといひたい。
此の
後のなんぞは、
何処で
工面をしたか、
竹の
小笠を
横ちよに
被つて、
仔細らしく、
其の
笠を
歩行に
連れてぱく/\と
上下に
揺つたもので。
藻抜けのやうに
立つて
居た、
私が
魂は
身に
戻つた、
其方を
拝むと
斉しく、
杖をかい
込み、
小笠を
傾け、
踵を
返すと
慌しく、一
散に
駆け
下りたが、
里に
着いた
時分は
山は
驟雨
雁が
歸るやうに
小笠を
浮かして
顯はれた。