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をがさ
藻抜けのやうに
立つて
居た、
私が
魂は
身に
戻つた、
其方を
拝むと
斉しく、
杖をかい
込み、
小笠を
傾け、
踵を
返すと
慌しく、一
散に
駆け
下りたが、
里に
着いた
時分は
山は
驟雨
雁が
歸るやうに
小笠を
浮かして
顯はれた。
紅に名の知らぬ花さく野の
小道いそぎたまふな
小傘の
一人
さしかざす
小傘に紅き揚羽蝶
小褄とる手に雪散りかかる
卯の花を
小傘にそへて褄とりて五月雨わぶる村はづれかな
小傘とりて朝の水くみ我とこそ
穂麦あをあを
小雨ふる里