寝静ねしず)” の例文
旧字:寢靜
よそのうちはもう寝静ねしずまつてゐるので、なんにもかないかも知れませんが、わたし達はどうも不安心でなりません。
赤い杭 (新字旧仮名) / 岡本綺堂(著)
家内かないひとたちが寝静ねしずまってしまった真夜中まよなかごろ、ひときて、チャン、チャンとはたっていました。
はまねこ (新字新仮名) / 小川未明(著)
それからは毎日まいにち毎晩まいばんくら湯殿ゆどののおかままえすわらせられて、あたまからはいをかぶりながら、はちかつぎはみずをくんだり、をたいたり、あさはやくからこされて、よるはみんなの寝静ねしずまったあとまでも
鉢かつぎ (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
人が寝静ねしずまると始めて夢をおそう(欄干らんかんから六尺余りの所を流れる)
思い出す事など (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
よるになってひと寝静ねしずまってから、ひとりでぶらぶらそとあるくのがきであった。
電信柱と妙な男 (新字新仮名) / 小川未明(著)
あるおとこは、いつものようにしずかな寝静ねしずまったまち往来おうらいあるいていると、雲突くもつくばかりの大男おおおとこが、あちらからのそりのそりとあるいてきた。見上みあげると二、三じょうもあるかとおもうような大男おおおとこである。
電信柱と妙な男 (新字新仮名) / 小川未明(著)