よっ)” の例文
ソレは乗らぬことにして、その少しきに下駄屋が見えるから、下駄屋へよって下駄一足に傘一本かって両方で二しゅ余り、三朱出ない。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
こはき獲物よと、急ぎ走りよって足に押へ、すでに喰はんとなせしほどに。忽ちうしろに声ありて、「憎き野良犬、其処そこ動きそ」ト、大喝だいかつせいえかかるに。
こがね丸 (新字旧仮名) / 巌谷小波(著)
顔にも皺が糸のもつれた如くよって来た。この分では老先おいさきも長くあるまい。この人の言うことにそむくのも気の毒だと思って、何の考えもなく、黙って鳥籠の口を開けた。
不思議な鳥 (新字新仮名) / 小川未明(著)
わしがとこの宰八——わかいものははじめから恐ろしがってよっつきませぬで——年役に出かけては、雨戸を明けたり、引窓を繰ったり、日も入れ、風も通したなれど、この間のその、のう
草迷宮 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
さて「名古屋へいりゃあたらよっ頂戴ちょうでやあも」という註文は果したが、団さんの発祥地は、「笹島駅から三丁目、一軒置いて二軒置いて三軒目」よりはもっと遠く、碁盤割の本町通ほんまちどお
ぐうたら道中記 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
品柄もく知らず数も覚えず、ただ邪魔になるばかりだから、五、六年前の事でした、九人の小供に分けてとっ仕舞しまえと申して、小供がワイ/\よって、その品を九に分けて、ソレをくじとっ
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
此度こたびは黄金丸肩をかすらして、思はず身をも沈めつ、大声あげて「おのれ今日も狼藉ろうぜきなすや、引捕ひっとらへてくれんず」ト、走りよって木の上を見れば、果して昨日の猿にて、黄金丸の姿を見るより
こがね丸 (新字旧仮名) / 巌谷小波(著)
松より寸留々々するすると走り下りて、かれむくろを取らんとせしに、何処いずくより来りけん一人の大男、思ふに撲犬師いぬころしなるべし、手に太やかなる棒持ちたるが、歩みよってわれをさえぎり、なほ争はば彼の棒もて
こがね丸 (新字旧仮名) / 巌谷小波(著)
その帰りに屋敷内に国から来て居る亡兄ぼうけいの朋友菅沼孫右衛門すがぬままごえもんと云う人の勤番きんばん長屋に何か用があってよった所が、其処そこに出入りの呉服屋か知らん古着屋か知らん呉服商人が来て何か話をして居る。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)