婆羅門ばらもん)” の例文
こうして、十九世紀末から現代にかけて、ことに婆羅門ばらもんアウルヤ派の手相学は、多くの信仰者を作って、昔の盛時にかえった観がある。
ヤトラカン・サミ博士の椅子 (新字新仮名) / 牧逸馬(著)
また『賢愚因縁経』十二に、舎衛しゃえ国の婆羅門ばらもん師質が子の有無を問うと六師はなしと答え、仏はあるべしという、喜んで仏と衆僧を供養す。
苦行は僧や婆羅門ばらもんの徒のぎやうするものばかりではない。人間はすべてこれを行してゐるではないか。意識せると、意識せざるとの区別はある。
ある僧の奇蹟 (新字旧仮名) / 田山花袋(著)
いったいこの舎利弗は、もと婆羅門ばらもんの坊さんであったのですが、ふとした事が動機もとで、仏教に転向した名高い人であります。
般若心経講義 (新字新仮名) / 高神覚昇(著)
この雑然とした街角の奥に婆羅門ばらもんの寺院がそびえている。しかし、釈尊降誕祭のこの日の道路は、支那兵の劒銃に遮断されて印度インド人は通れなかった。
上海 (新字新仮名) / 横光利一(著)
月天子よ、私は汝のやさしい面を仰いで夜をも明すであろう、姿は苦行の婆羅門ばらもんのごとく、心は渇仰の信徒のごとく。
島守 (新字新仮名) / 中勘助(著)
その他、Susrtaスシュルタ, Charaka Samhitaチャラカ・サンヒター 等の婆羅門ばらもん医書、アウフレヒトの「愛経カーマ・スートラ」梵語原本。
黒死館殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
七分通り燃え盡した蝋燭の火に今や睫毛まつげが焦げそうになって居ても、婆羅門ばらもん行者ぎょうじゃの如く胡坐あぐらをかいて拳を後手うしろでに括られたまゝ、大人おとなしく端然と控えて居る。
少年 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
人入れ渡世の銅鑼屋どらやの亀さんの部屋にいる、日傭取ひようとりの人足達も、七人が七人とも雨で、十日も仕事にあぶれて、みんな婆羅門ばらもんの行者みたいに目をへこましていた。
醤油仏 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
神仏混淆は日本で起り、道仏混淆は支那で起り、仏法婆羅門ばらもん混淆は印度で起っている。何も不思議はない。
魔法修行者 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
というのは、婆羅門ばらもん僧は、人も知る如く、インド民族の最上階級であって、その身体は神聖不可侵である。
法窓夜話:02 法窓夜話 (新字新仮名) / 穂積陳重(著)
ミスラ君は永年印度の独立を計っているカルカッタ生れの愛国者で、同時にまたハッサン・カンという名高い婆羅門ばらもんの秘法を学んだ、年の若い魔術まじゅつの大家なのです。
魔術 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
ミーマンサーとか瑜伽ゆが哲学など婆羅門ばらもん秘奥の哲理に就いても思索を重ね、つづいて仏教の本義を会得したいと勉めてゐるが、数年の思索の結果阿頼耶識あらやしきも理解し得たつもりであるし
盗まれた手紙の話 (新字旧仮名) / 坂口安吾(著)
婆羅門ばらもん苦行くぎやう沙門しやもん、あるはまた
邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
婆羅門ばらもんの作れる小田をだからす
牧羊神 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
道を伝ふる婆羅門ばらもん
若菜集 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
婆羅門ばらもん信徒は世界創造の時に出来たとの伝説を信じており、また近頃の学者は紀元後であるという人さえあるが、紀元前一〇〇〇年前後であるという説が頗る多い。
法窓夜話:02 法窓夜話 (新字新仮名) / 穂積陳重(著)
さういふ先生の一人に、なにがし先生といつて、婆羅門ばらもん哲学の先生がゐた。齢はまだ三十七八で、見たところ格服かっぷくの良い紳士であるが、惜しいことには、いつも眠さうな顔をしてゐる。
風人録 (新字旧仮名) / 坂口安吾(著)
婆羅門ばらもん主義は、唯一無二の婆羅を信心し、吠陀ヴェダを奉って進展してきた宗教である。
ヤトラカン・サミ博士の椅子 (新字新仮名) / 牧逸馬(著)
昔は、聖者はあらゆる苦行をぎやうした。一生を苦行のうちに終つた人達もあつた。婆羅門ばらもんの徒の苦行——そこまで考へて行つてかれは思つた。自分のこれまでの生活は、あらゆる苦行ではなかつたか。
ある僧の奇蹟 (新字旧仮名) / 田山花袋(著)
婆羅門ばらもん婆羅門ばらもんの塩をめつる
第二邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
道を傳ふる婆羅門ばらもん
藤村詩抄:島崎藤村自選 (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
もとカバラ猶太ユダヤ接神学者の一派と、印度インド婆羅門ばらもん宗に起こったものだ。
ヤトラカン・サミ博士の椅子 (新字新仮名) / 牧逸馬(著)