ごの)” の例文
一体うなんだ。あの女を貰ふ気はないのか。いぢやないかもらつたつて。さうごのみをする程女房に重きを置くと、何だか元禄げんろく時代の色男の様で可笑しいな。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
薬研堀やげんぼり不動様ふどうさまへ、心願しんがんがあってのかえりがけ、くろじょうえりのかかったお納戸茶なんどちゃ半合羽はんがっぱ奴蛇やっこじゃそうろうごのみにして、中小僧ちゅうこぞう市松いちまつともにつれた、紙問屋かみどんや橘屋たちばなや若旦那わかだんな徳太郎とくたろう
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
試みに西川一草亭にしかわいっそうてい一門の生けた花を見れば、いかに草と木と、花と花と、花と花器とのモンタージュの洗練されうるかを知ることができる。文人風や遠州えんしゅうごのみの床飾りもやはりそうである。
映画雑感(Ⅰ) (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
座敷には美しいをんな幾人いくたりかが人形のやうにならんでゐたが、画家ゑかきはそのなかの一人をごのみして、頻りと杯のりをしてゐた。骨董屋は飯事まゝごとのやうなそのふりを見て、腹のなかで笑つてゐた。
第二は、松山がスポーツごのみで
麻雀殺人事件 (新字新仮名) / 海野十三(著)
議論にならなくっても、事実の上で、あたしの方が由雄さんに勝ってるんだから仕方がない。いろいろごのみをしたあげく、お嫁さんを貰った後でも、まだ選り好みを
明暗 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)