なん)” の例文
知遇にむくゐん為には何物をも犠牲に供し得る人なり、彼なんぞ容易に父母の邦を棄得んや、容易に天下の浪士となり得んや
頼襄を論ず (新字旧仮名) / 山路愛山(著)
こまねぎて居たりしが彼浪人め一文貰もんもらひの身分にてわづか二三日の中に十三兩と云金子の出來樣はずなし融通ゆうづうせし金なりと云ともなんぞ袖乞に十兩からの金子を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
一枝ひとえだかつられ、一輪いちりんはなめ。なんぞみだりにつまあだして、われをしてくるにところなく、するにすべなからしむる。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
子曰く、なんじ(汝)なんわざる、その人とりや、発憤して食を忘れ、楽しみて以て憂いを忘れ、老いのまさに至らんとするを知らざるのみと。(述而じゅつじ、一八)
孔子 (新字新仮名) / 和辻哲郎(著)
あして鹿つべらしい顏をしとる時も、なんぞ知らん細君の機嫌を取る工夫をしとるのかも知れんぞ。
我等の一団と彼 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
しこうしてまた自から詫びて曰く、「挙世一士無し、吾にほしいままにせしむ第一流」と。マヂニー曰く、「余は活動を喚起する喇叭らっぱのみ、汝もし余が勢力を減殺げんさいせんと欲せは、なんみずから活動せざる」
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
事既に追うなし。ゆるともなんぞ及ばん。
牡丹灯籠 牡丹灯記 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
此に於てか正に知るべし、「詩形」の進歩は実に「音楽」の進歩に伴ふことを、「声音」の学発達するに非んば「詩形」なんぞ独り発達するを得んや。
詩人論 (新字旧仮名) / 山路愛山(著)
よくけ汝は主人五兵衞とやらと兩人してよめのお秀へ不義を仕掛るは主從共そろひも揃ひし畜生ちくしやうどもよつて嫁のお秀も居耐ゐたゝまれず終に逃出にげいだせしなり夫になんぞや親亭主を見捨て駈出かけいだしたる女故離縁状を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
事既に追うなし。悔ゆともなんぞ及ばん。
牡丹灯記 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
てんなんゆるすべきや然るに事を左右さいうに寄せ彼是陳ずるは天命てんめい
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)