地団太じだんだ)” の例文
旧字:地團太
……それと気が付いた吾輩は、それこそ地団太じだんだを踏んで口惜しがったものだ。地団太の踏み方がチットばかり遅かったが仕方がない。
爆弾太平記 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
そうして、洗面所へ駈け込んで頭から冷水を浴びせるやら、窓枠にしがみ着いて地団太じだんだを蹈むやら、一生懸命に死に物狂いに暴れ廻る。
恐怖 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
こういって、四たび、地団太じだんだを踏んだ時に、火打石をさがす自分の手に、提灯ちょうちんがあかあかとともっている間抜けさをさとりました。
大菩薩峠:26 めいろの巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
チビの鮎子さんは、ろくな服を持って来なかったとひっきりなしに愚痴をこぼし、ピロちゃんは靴が小さくなったといって地団太じだんだを踏んだ。
さてこうなると、どうしていいか判らない。今さら歯咬みをしても、地団太じだんだをふんでも、取り返しの付かないことになった。
半七捕物帳:42 仮面 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
もしドレゴ自身ひとりで出懸けて来ようものなら、通信機を持たぬ彼は今頃地団太じだんだ踏んで口惜涙くやしなみだに暮れていたことであろう。
地球発狂事件 (新字新仮名) / 海野十三丘丘十郎(著)
眠るよりも、からだをゆすぶるか、歩き廻るか、地団太じだんだを踏むほうがいい。両方の握りこぶしで、つっぱってくる腹を抑える。
にんじん (新字新仮名) / ジュール・ルナール(著)
裕佐は地団太じだんだを踏んだ。しかしその時はすでに訊問者じんもんしゃは席をたち、数人の男が彼の両腕を押えてひき立てていた。
その結果はどうかというと、好きなものを手に入れるや否や、すぐその次のものが欲しくなる。好きなものに逃げられた時は、地団太じだんだを踏んで口惜くやしがる
明暗 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
私は地団太じだんだ踏んで泣いた。とうとう、丁稚でっちと番頭につれられて、八丁寺町はっちょうてらまちへ大蜻蛉狩りを行った事である。
めでたき風景 (新字新仮名) / 小出楢重(著)
地団太じだんだ踏んで、わめき立てているさまを想像すると、滑稽こっけいでもあった。二時間ほど、盲目滅法めくらめっぽうに快走をつづけたが、どうしたことか、左手に島影も発見できない。
怪奇人造島 (新字新仮名) / 寺島柾史(著)
娘の冴えまさる美しい顔を見ると、その毒心もつい鈍るので翁は眼を娘から外らしながら声を身体中から振り絞るべく、身体を揉み揺り地団太じだんだ踏みながら叫んだ。
富士 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
誰に聞かせるために叫ぶのか、それも私には曖昧あいまいであった。見る見るうちに、馬は地団太じだんだを踏むようにしながら、網のあちこちを食い破ったり、引き裂いたりしてしまっていた。
庭の眺め (新字新仮名) / 梅崎春生(著)
万豊が地団太じだんだを踏みながら引き返してゆく後姿が栗林の中でまだらな光を浴びていた。線路の堤に、青鬼、赤鬼、天狗、狐、ひょっとこ、将軍などの矮人こびと連が並んで勝鬨かちどきを挙げていた。
鬼涙村 (新字新仮名) / 牧野信一(著)
と叫んで、男が地団太じだんだ踏んだその刹那、程近い闇黒やみの奥から太い声がした。
米友は口惜しがって地団太じだんだを踏みましたが、続いて同じようななりをして、同じ年頃の娘が、これも同じように頭巾で面を包んで出て来たのを見ると
大菩薩峠:13 如法闇夜の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
函館時報社の飛行機に先鞭せんべんを付けられて、地団太じだんだを踏んでいた小樽タイムス社と、その後援者ともいうべき谷山家の援助を受けまして、たたみボートと、食糧と
キチガイ地獄 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
商会の後ろにはこのために往来止めを喰った数十台の高級自動車が、口頭と警笛をもって、「退け、退け」としきりに催促する。道路工夫はわめく、監督は地団太じだんだを踏む。
「君は山を呼び寄せる男だ。呼び寄せて来ないと怒る男だ。地団太じだんだを踏んで口惜くやしがる男だ。そうして山を悪く批判する事だけを考える男だ。なぜ山の方へ歩いて行かない」
行人 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
彼は地団太じだんだを踏みながら、その手には妹から来た手紙をシッカリ握りしめていた。
(新字新仮名) / 海野十三(著)
覚めてから地団太じだんだむのではないか、………お前が愛する人のために献身的になるのはよいが、果してお前はその後の孤独に堪えられるのか、と云うさゝやきが聞えないでもなかったのであるが
少将滋幹の母 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
こういって軽く地団太じだんだを踏んで見せますと、米友の笠の下から、穴のあくほどながめていた絵師は、何に感心したか、小首をひねりながら言葉を重くして
大菩薩峠:21 無明の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
お延は胸の奥で地団太じだんだを踏んだ。せっかくの努力はこれ以上何物をも彼女に与える事ができなかった。留守るすに彼女を待つ津田の手紙が来ているとも知らない彼女は、そのまま堀の家を出た。
明暗 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
「しまった。そいつは質札を拾ってきやがったんだ。それに違いない。そいつは、どんな人間だったい、番頭さん」と、一平は真赤になったり蒼白になったりして、地団太じだんだを踏んだのだった。
ネオン横丁殺人事件 (新字新仮名) / 海野十三(著)
と、地団太じだんだを踏んでわめき立てる。
顎十郎捕物帳:02 稲荷の使 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
お千はまた興奮して、地団太じだんだを踏み、往来の砂埃すなぼこりをしきりと立てていた。
棺桶の花嫁 (新字新仮名) / 海野十三(著)
このゆえに写生文家は地団太じだんだを踏む熱烈な調子を避ける。かかる狂的の人間を写すのを避けるのではない。写生文家自身までが写さるる狂的な人間と同一になるを避けるのである。避けるのではない。
写生文 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
この声で米友が思わず飛び上って、例の地団太じだんだを踏みました。
大菩薩峠:26 めいろの巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
米友はここでも地団太じだんだ踏んで、れったがりました。
大菩薩峠:26 めいろの巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
金蔵は恐怖きわまって地団太じだんだを踏んでみました。
と畳の上に二三度、地団太じだんだを踏んで
大菩薩峠:21 無明の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)