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唐黍
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とうきび
ふりがな文庫
“
唐黍
(
とうきび
)” の例文
また「麦秋」という訳名であるが、旱魃で水をほしがっているあの画面の植物は自分にはどうも
黍
(
きび
)
か
唐黍
(
とうきび
)
かとしか思われなかった。
映画雑感(Ⅳ)
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
そして段丘の上に、小舎が建てられたり、馬鈴薯や
唐黍
(
とうきび
)
が植えられたりして、この辺の畑としては、手入れが届いている。
火と氷のシャスタ山
(新字新仮名)
/
小島烏水
(著)
埃
(
ほこり
)
っぽい道を、上衣を肩にかけて歩いている。同じような道をいつか通ったことがある。両側は家並でなく、一面の
唐黍
(
とうきび
)
畠だ。唐黍畠から犬が這い出して来る。
幻化
(新字新仮名)
/
梅崎春生
(著)
窓から小高い山の新芽がのびた松や
団栗
(
どんぐり
)
や、段々畑の
唐黍
(
とうきび
)
の青い葉を見るとそれが恐しく美しく見える。
海賊と遍路
(新字新仮名)
/
黒島伝治
(著)
ツマんで吊したような白っぽい変に淋しい屋根をみるときに、いつも木戸口にがやがや立ち騒ぐ露西亜人の
窪
(
くぼ
)
んだ
眼窩
(
がんか
)
や、
唐黍
(
とうきび
)
色の
髭
(
ひげ
)
や日に焼けた色をみるとき
ヒッポドロム
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
▼ もっと見る
唐黍
(
とうきび
)
のからからとうごく間に、積層雲の高い空が
焦
(
や
)
けきッた鉄板みたいにじいんと照りつけていた。
大谷刑部
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
汽車が
唐黍
(
とうきび
)
の畑に沿って、
加奈陀
(
カナダ
)
との国境を走出した頃には、フリント君も少しずつ、諦め始めて、隅の座席に腰を据えて新刊の『科学的犯罪の実例』を読み出した。
夜汽車
(新字新仮名)
/
牧逸馬
(著)
両側の畑には穂に出て黄ばみかけた柔かな色の
燕麦
(
えんばく
)
があった。またライ麦の層があった。トマトの葉の
濃
(
こ
)
みどり、
甘藍
(
キャベツ
)
のさ緑、白い隠元豆の花、
唐黍
(
とうきび
)
のあかい毛、——
フレップ・トリップ
(新字新仮名)
/
北原白秋
(著)
そこへ、母屋の方のお婆さんが、
唐黍
(
とうきび
)
の焼餅を、大きな盆に山ほど積んで、お茶うけに持ってきた。この座敷の寒い空気に触れて、白い湯気がおいしそうに焼餅から立ち揺れる。
酒徒漂泊
(新字新仮名)
/
佐藤垢石
(著)
苦力頭の女房らしいビンツケで髪を固めているような、不格好な女がマントウやら
葱
(
ねぎ
)
やら
唐黍
(
とうきび
)
の
粥
(
かゆ
)
のようなものを
土器
(
かわらけ
)
のような容れものに盛って、五分板の上に膳立てをしていた。
苦力頭の表情
(新字新仮名)
/
里村欣三
(著)
茄子
(
なす
)
、ぼうぶら(かぼちゃ)、人参、
牛蒡
(
ごぼう
)
、瓜、黄瓜など、もとよりあった。
蕗
(
ふき
)
もあり、みょうがもあり、
唐黍
(
とうきび
)
(唐もろこし)もあり、葱もあり、ちしゃもあり、らっきょもあった。
私の父
(新字新仮名)
/
堺利彦
(著)
トウキビゴメ 阿蘇火山の東側面の陸田地方は、
玉蜀黍
(
とうもろこし
)
を主食にしている。粉にひいても食うが多くは米粒大に砕いて飯に
炊
(
かし
)
ぐ。それを
唐黍
(
とうきび
)
米というが、唐黍はこの地方では玉蜀黍のことである。
食料名彙
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
大阪の天王寺
蕪
(
かぶら
)
、函館の
赤蕪
(
あかかぶら
)
、秋田のはたはた魚、土佐のザボン及び
柑
(
かん
)
類、
越後
(
えちご
)
の
鮭
(
さけ
)
の
粕漬
(
かすづけ
)
、
足柄
(
あしがら
)
の
唐黍
(
とうきび
)
餅、
五十鈴
(
いすず
)
川の
沙魚
(
はぜ
)
、山形ののし梅、青森の
林檎羊羹
(
りんごようかん
)
、
越中
(
えっちゅう
)
の
干柿
(
ほしがき
)
、伊予の
柚柑
(
ゆずかん
)
、
備前
(
びぜん
)
の沙魚
墨汁一滴
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
路々
(
みちみち
)
、
唐黍
(
とうきび
)
畑も、おいらん
草
(
そう
)
も、そよりともしないで、ただねばりつくほどの暑さではありましたが、
煙草
(
たばこ
)
を買えば(私が。)(あれさ、
細
(
こまか
)
いのが私の方に。)と女同士……
東京子
(
とうきょうっこ
)
は小遣を使います。
甲乙
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
唐黍
(
とうきび
)
のかぶりもふらぬ暑さかな 梅山
古句を観る
(新字新仮名)
/
柴田宵曲
(著)
とある漁師の家の窓からは女の子がたった一人
面
(
かお
)
を出していた。その前の畑には、いかにも雨に濡れた黄の菜の花が咲き群れていた。それに
豌豆
(
えんどう
)
の花、背の低い
唐黍
(
とうきび
)
。
葱坊主
(
ねぎぼうず
)
。
フレップ・トリップ
(新字新仮名)
/
北原白秋
(著)
柔らかい
唐黍
(
とうきび
)
のような紅毛が、微風に立ちそよいだ。
後の日の童子
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
槍の柄で、
唐黍
(
とうきび
)
の首を横に撲りつけた。
大谷刑部
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
そこには紅い葵が咲き、向日葵が盛り、西瓜や
鶉豆
(
うずらまめ
)
の花、
唐黍
(
とうきび
)
の毛などがそよいで、それに露西亜人の丸太組の家もところどころに残っているし、異国風の実にまた新鮮な風景だった。
フレップ・トリップ
(新字新仮名)
/
北原白秋
(著)
唐
常用漢字
中学
部首:⼝
10画
黍
漢検準1級
部首:⿉
12画
“唐黍”で始まる語句
唐黍畑