吟詠ぎんえい)” の例文
されば暖国だんこくの人のごとく初雪を吟詠ぎんえい遊興いうきようのたのしみはゆめにもしらず、今年ことしも又此雪中ゆきのなかる事かと雪をかなしむ辺郷へんきやう寒国かんこくうまれたる不幸といふべし。
魏の北岸の陣中で、誰か吟詠ぎんえいしている者があった。旗艦に坐乗していた曹操はふと耳にとめて
三国志:08 望蜀の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
(舞台裏にて、低い吟詠ぎんえい調にて『合唱』をうたう。人数は少くとも三十人以上であること)
なよたけ (新字新仮名) / 加藤道夫(著)
山野を馳駆ちくして快い汗をかくか、天潤いて雨静かな日は明窓浄几じょうき香炉詩巻、吟詠ぎんえい翰墨かんぼくの遊びをして性情を頤養いようするとかいう風に、心ゆくばかり自由安適な生活を楽んでいたことだったろう。
連環記 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
されど我国の人はおさなきよりなれたる事なればめづらしからず、垂氷つらゝ吟詠ぎんえいに入るものなし。右のつらゝあかりにさはるゆゑ朝毎あさごと木鋤こすきにてみな打おとさす。
神主かんぬし宮氏の家に貞和ぢやうわ文明ぶんめいの頃の記録きろく今にそんせり。当主たうしゆ文雅ぶんがこのみ吟詠ぎんえいにもとめり、雅名がめい正樹まさきといふ。同好どうこうを以てまじはりおさむ。幣下へいしたとなふ社家しやけ諸方しよはうにあまたある大社也。
さて旧友きういう観励くわんれい上人は(椎谷ざい田沢村浄土宗祐光寺)強学きやうがくきこえあり、かつ好事かうずへきあるを以てかの橋柱はしばしらの文字を双鈎刊刻さうこうかんこくして同好どうこうにおくり且橋柱はしばしらだいする吟詠ぎんえいをこひ