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卑近
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ひきん
ふりがな文庫
“
卑近
(
ひきん
)” の例文
卑近
(
ひきん
)
な実例を上げるならば、彼は幼少の頃、女中の手を
煩
(
わずら
)
わさないで、自分で
床
(
とこ
)
を上げたりすると、その時分まだ生きていた祖母が
虫
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
準備を
整
(
ととの
)
えていさえすればいかに
卑近
(
ひきん
)
な教えでも、いかに
些末
(
さまつ
)
な忠告でも、必ずこれを受け取って
発芽
(
はつが
)
して、花咲かせて実るものと思う。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
『らんぷや
御難
(
ごなん
)
』は「
拓
(
ひら
)
けゆく電気」に書いたもの。これは
卑近
(
ひきん
)
な生活の中に、科学を織りこんだもので、これまた一つの型だと思っている。
『地球盗難』の作者の言葉
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
一つの教室に属するいくつかの実験室には、指導者の風格などという
高尚
(
こうしょう
)
な話は別として、
卑近
(
ひきん
)
な実験技術の知識がいつの間にか集積して来るものである。
実験室の記憶
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
即
(
すなは
)
ち
最
(
もつと
)
も
高遠
(
かうゑん
)
なるは
神話
(
しんわ
)
となり、
最
(
もつと
)
も
卑近
(
ひきん
)
なるはお
伽噺
(
とぎばなし
)
となり、一
般
(
ぱん
)
の
學術
(
がくじゆつ
)
特
(
とく
)
に
歴史上
(
れきしじやう
)
に
於
(
おい
)
ても、
又
(
また
)
一
般
(
ぱん
)
生活上
(
せいくわつじやう
)
に
於
(
おい
)
ても、
實
(
じつ
)
に
微妙
(
びめう
)
なる
關係
(
くわんけい
)
を
有
(
いう
)
して
居
(
ゐ
)
るのである。
妖怪研究
(旧字旧仮名)
/
伊東忠太
(著)
▼ もっと見る
著者
(
ちよしや
)
は
少年諸君
(
しようねんしよくん
)
に
向
(
むか
)
つて、
地震學
(
ぢしんがく
)
の
進
(
すゝ
)
んだ
知識
(
ちしき
)
を
紹介
(
しようかい
)
しようとするものでない。
又
(
また
)
たとひ
卑近
(
ひきん
)
な
部分
(
ぶぶん
)
でも、
震災防止
(
しんさいぼうし
)
の
目的
(
もくてき
)
に
直接
(
ちよくせつ
)
關係
(
かんけい
)
のないものまで
論
(
ろん
)
じようとするのでもない。
地震の話
(旧字旧仮名)
/
今村明恒
(著)
芸術家が起らぬ。
而
(
しか
)
してすべての事が段々
卑近
(
ひきん
)
になって来る。思想界に一度病が起ると、文学でも画でも甚だ卑猥なるものが流行して来る。政治もまた同様で、政治家が段々堕落する。
政治趣味の涵養
(新字新仮名)
/
大隈重信
(著)
卑近
(
ひきん
)
な例を挙げてみれば、彼は
米琉
(
よねりゅう
)
の新しい揃いの着物を着ていても、帽子はというと何年か前の古物を
被
(
かぶ
)
って、平然として、いわゆる作家風々として歩き廻っているといった次第なのである。
遁走
(新字新仮名)
/
葛西善蔵
(著)
もし文芸院がより多く
卑近
(
ひきん
)
なる目的を以て、文芸の産出家に対して、個々別々の便宜を、その
作物
(
さくぶつ
)
上の評価に応じて、
零細
(
れいさい
)
にかつ随時に与えようとするならば、余はその効果の比較的少きに反して
文芸委員は何をするか
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
青年はみな理想をもっているが、
卑近
(
ひきん
)
な小さなことにまで翻訳して始めて理想の理想たるところが現れ、かつまた高くなり強くなるものである。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
まずその
卑近
(
ひきん
)
なる快楽主義と、大それたる利己一天張りに陥るというが如きは見逃すべからざる弊だ。支那の官人には奉公の赤誠が尠ない。彼等はただ単に自己一身の栄誉
聞達
(
ぶんたつ
)
を欲している。
日支親善策如何:――我輩の日支親善論
(新字新仮名)
/
大隈重信
(著)
ごく
卑近
(
ひきん
)
な一例を上げると、賊の往復の足跡の図だ。
何者
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
卑
常用漢字
中学
部首:⼗
9画
近
常用漢字
小2
部首:⾡
7画
“卑”で始まる語句
卑怯
卑
卑下
卑猥
卑劣
卑怯者
卑賤
卑屈
卑陋
卑吝