力役りきえき)” の例文
北斎は人の笑ふ時いかる時また力役りきえきする時、いかにその筋肉の動くかを知り能くこれを描き得たる画家なり。
江戸芸術論 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
この諸大家はいわゆるミッヅル・カラッスなる者にて、国の執政にあらず、また力役りきえきの小民にあらず、まさに国人の中等に位し、智力をもって一世を指揮したる者なり。
学問のすすめ (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
力役りきえきを苦としないから、あつらえ向きの水車番——
大菩薩峠:26 めいろの巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
夜目よめなればこそだしもなれひるはづかしき古毛布ふるげつと乘客のりてしなさぞぞとられておほくはれぬやせづくこめしろほどりやしや九尺二間くしやくにけんけぶりつなあはれ手中しゆちゆうにかゝる此人このひと腕力ちからおぼつかなき細作ほそづくりに車夫しやふめかぬ人柄ひとがら華奢きやしやといふてめもせられぬ力役りきえき社會しやくわいつたとは請取うけとれず履歴りれき
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
すべて心を用い、心配する仕事はむずかしくして、手足を用うる力役りきえきはやすし。
学問のすすめ (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
夫婦ぐらしなれば格別かくべつ、もしも三、五人の子供または老親あれば、歳入さいにゅうを以て衣食を給するにらず。故に家内かない力役りきえきたうる者は男女を問わず、或は手細工てざいく或は紡績ぼうせき等のかせぎを以てかろうじて生計せいけいすのみ。
旧藩情 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)