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冥府
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ふりがな文庫
“
冥府
(
よみ
)” の例文
絵の下段にはアーチ型に、男性と女性とが腕を伸ばして手を握り合ひ、女性は赤児のクリストを抱き男女の下のは日月星辰と
冥府
(
よみ
)
の国とがある
小熊秀雄全集-19:美術論・画論
(新字旧仮名)
/
小熊秀雄
(著)
殺
(
ばら
)
したぞといったことは、むしろ父がまだ生きている実証のようにさえ思えて、
冥府
(
よみ
)
のような冷たい闇へ飛びこむと一緒に
鳴門秘帖:05 剣山の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「こゝは処も桂川」、最前の起句を再用して、「造化の筆はいまもなほ、悲惨の景色うつしいで、我はた
冥府
(
よみ
)
の人なりき」
「桂川」(吊歌)を評して情死に及ぶ
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
テームスは彼らにとっての
三途
(
さんず
)
の川でこの門は
冥府
(
よみ
)
に通ずる入口であった。彼らは涙の
浪
(
なみ
)
に揺られてこの
洞窟
(
どうくつ
)
のごとく薄暗きアーチの下まで
漕
(
こ
)
ぎつけられる。
倫敦塔
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
つい今しがたまで雨を恋しがって居た乾き切った
真夏
(
まなつ
)
の
喘
(
あえ
)
ぎは何処へ往ったか。唯十分か十五分の中に、大地は恐ろしい雨雲の下に閉じこめられて、冷たい
黯
(
くら
)
い
冥府
(
よみ
)
になった。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
▼ もっと見る
太陽は見透す瞳を八方に向けてレミンカイネンが
冥府
(
よみ
)
の中に黒く流れる河底に白骨となって横わっているのを照し出してやりました。母は悲しみましたけれど、決して諦めません。
生々流転
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
どうも
冥府
(
よみ
)
から響いて人を取って食いそうな声だ。
大菩薩峠:04 三輪の神杉の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
はや
冥府
(
よみ
)
の
国
(
くに
)
、血に染めし
哀音
(新字旧仮名)
/
末吉安持
(著)
冷
(
つめ
)
たき
冥府
(
よみ
)
の
水底
(
みなそこ
)
に
藤村詩抄:島崎藤村自選
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
まッ暗な
冥府
(
よみ
)
の底に落ちて、もがき嘆いているような亡霊が自分のように感じられた。彼は、両手で顔を
蔽
(
おお
)
った。
大岡越前
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
長い車は包む夜を押し分けて、やらじと
逆
(
さか
)
う風を打つ。追い懸くる
冥府
(
よみ
)
の神を、力ある尾に
敲
(
たた
)
いて、ようやくに抜け出でたる暁の国の青く
煙
(
けぶ
)
る向うが一面に
競
(
せ
)
り上がって来る。
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
くらき
冥府
(
よみ
)
までも
若菜集
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
自然に引き付けられたれば
咎
(
とが
)
も恐れず、世を
憚
(
はばか
)
りの
関
(
せき
)
一重
(
ひとえ
)
あなたへ越せば、生涯の
落
(
お
)
ち
付
(
つき
)
はあるべしと念じたるに、引き寄せたる磁石は火打石と化して、吸われし鉄は無限の空裏を
冥府
(
よみ
)
へ
隕
(
お
)
つる。
薤露行
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
くらき
冥府
(
よみ
)
まで
藤村詩抄:島崎藤村自選
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
眠りながら
冥府
(
よみ
)
に連れて行かれるのは、死ぬ覚悟をせぬうちに、だまし打ちに惜しき一命を
果
(
はた
)
すと同様である。どうせ殺すものなら、とても
逃
(
のが
)
れぬ
定業
(
じょうごう
)
と得心もさせ、断念もして、念仏を
唱
(
とな
)
えたい。
草枕
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
冥府
(
よみ
)
の色より物凄し。
鬼哭寺の一夜
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
“冥府”の意味
《名詞》
冥府(めいふ)
あの世。冥土。黄泉路。
地獄。
(出典:Wiktionary)
冥
常用漢字
中学
部首:⼍
10画
府
常用漢字
小4
部首:⼴
8画
“冥”で始まる語句
冥加
冥利
冥途
冥土
冥々
冥福
冥
冥想
冥護
冥罰