八千代やちよ)” の例文
佐賀錦さがにしき紙入かみいれから、の、ざく/\と銅貨どうくわまじりをあつかつた、岡田夫人をかだふじん八千代やちよさんの紙包かみづつみの、こなしのきれいさをいまでもおぼえてる。
九九九会小記 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
とのべつに呼んでいるから孝助も気の毒に思い、横になって枕をつけ、玉椿たまつばき八千代やちよまでと思い思った夫婦なか、初めての語らい、誠にお目出たいお話でございます。
今の文学士小山内薫おさないかおるさんと画家岡田三郎助おかださぶろうすけさんの妻八千代やちよさんとは建の遺子である。矢島優善やすよしは弘前にとどまっていて、戦地から後送こうそうせられて来る負傷者を治療した。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
「山の手におると、かわくような気がすると、八千代やちよさんはいうているなあ。此家ここへくると、ジュウっと、水がみわたるようじゃというてたが、わしもそう思います。」
朱絃舎浜子 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
八千代やちよとぞ鳴く
大菩薩峠:02 鈴鹿山の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
八千代やちよさんは、一寸ちよつと薄化粧うすげしやうなにかで、びんみださず、つゑ片手かたてに、しやんと、きちんとしたものであつた。
露宿 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
と云って少しも平生へいぜいと変りはありませんから、夕べは玉つばきの八千代やちよまでと深く契ったようだと思い、お母さんも安心して居ります。唯気遣きづかいなのは嫁でございます。
業平文治漂流奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
白井しらゐさんの家族かぞく四人よにん、——主人しゆじんはまだけないいへまもつてこゝにはみえない——わたしたちと、……濱野はまのさんは八千代やちよさんが折紙をりがみをつけた、いゝをとこださうだが、仕方しかたがない。
露宿 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
わたしいきをついてつた、八千代やちよさんがたのである、四谷坂町よつやさかまち小山内をさないさん(阪地滯在中はんちたいざいちう)の留守見舞るすみまひに、澁谷しぶやからなすつたとふ。……御主人ごしゆじんをんな弟子でしが、提灯ちやうちんつて連立つれだつた。
露宿 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)