僭上せんじやう)” の例文
ふ、牛切ぎうきりの媽々かゝあをたとへもあらうに、毛嬙飛燕まうしやうひえんすさまじい、僭上せんじやういたりであるが、なにべつ美婦びふめるに遠慮ゑんりよらぬ。其處そこ
鑑定 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
御隱殿裏の百姓地で、この上もなく閑靜なところですが、寮はなか/\の構へで、町人の住居にしては、少し僭上せんじやうらしく見えます。
あなたに僭上せんじやうを云つたものとして、しかしながらあの時にA子さんやH子さんのことをあなたの相手として考へたやうに、今も四人や五人はそんな人のあつたはう
遺書 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
この節はもう、金持ちの町人のおご僭上せんじやうも相當で、小大名や旗本御家人などは、及びもつかぬ暮し向でした。
銭形平次捕物控:311 鬼女 (旧字旧仮名) / 野村胡堂(著)
臺所だいどころ豪傑儕がうけつばら座敷方ざしきがた僭上せんじやう榮耀榮華えいえうえいぐわいきどほりはつし、しやて、緋縮緬小褄ひぢりめんこづままへ奪取ばひとれとて、竈將軍かまどしやうぐん押取おつとつた柄杓ひしやく采配さいはい火吹竹ひふきだけかひいて、鍋釜なべかま鎧武者よろひむしや
霰ふる (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
江島屋の構へは町人にしてはぜいに過ぎるほどで、四方にめぐらした板塀の嚴重さ、その上に植ゑた忍び返しは、天に向つて振り立てた、無氣味な武器にも似て、僭上せんじやうの限りです。
寒国かんごくでは、うしてつたところがある。これはなつ待遇もてなしちがひない。贅沢ぜいたくなものだ。むかし僭上せんじやう役者やくしや硝子張がらすばり天井てんじやうおよがせて、仰向あふむいてたのでさへ、欠所けつしよ所払ところばらひをまをしつかつた。
十和田湖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
西陣にしぢんの織物を一手にさばいた本家福屋の番頭から仕上げた善兵衞が、暖簾のれんを分けて貰ふと、公儀に讒訴ざんそをして、天草あまくさの旗指物を引受けたとか、身分不相應の奢侈しやし僭上せんじやうふけつたとか
本人は大通だいつう中の大通のやうな心持で居るのですが、金持の獨りつ子らしく育つて居る上に、人の意見の口をふさぐ程度に才智が廻るので、番頭達も、親類方も、その僭上せんじやう振りを苦々しく思ひ乍ら
平次はそれとなく、僭上せんじやう沙汰の凉み船のことに觸れると