一遍いつぺん)” の例文
宗助そうすけ自然しぜん叔父をぢうちあしとほくなるやうになつた。たまにつても、義理ぎり一遍いつぺん訪問はうもんをはことおほいので、かへみちには何時いつつまらないがしてならなかつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
「どうせ此處ここらの始末しまつもしねえでつたんだから、一遍いつぺん途中とちうけえつてなくつちやらねえのがだからおなことだよ」勘次かんじはおしなのぞこむやうにしていつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
わたしは夜寒よさむの裏通りに、あかあかと障子へ火のうつつた、或家の玄関を知つてゐる。玄関を、——が、その蝦夷松えぞまつ格子戸かうしどの中へは一遍いつぺんも足を入れたことはない。
わが散文詩 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
それに以前もと吉原よしはら一遍いつぺんでもあなたの所へ出たことがあるんですから、良人うちのひとに知れると悋気りんきではありませんが、いやな顔でもされるとあなたも御迷惑ごめいわくでございませうから内々ない/\で。
一遍いつぺん來とくれやす。きつとだツせ。……明日あした……明後日あさつて……そら阿母おかあはんが喜びはりまツせ。
東光院 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
三四郎はもう一遍いつぺん、女の顔付かほつき眼付めつきと、ふく装とを、あの時あの儘に、繰り返して、それを病院の寝台の上に乗せて、其そばに野々宮君を立たして、二三の会話をさせたが、あにでは物足らないので
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
おと一遍いつぺんしたぎりなのかい」
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
「もう一遍いつぺん工面するつて」
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)