一町いつちやう)” の例文
それだのに、わたしいへまではきこえない。——でんこでんこのあそびではないが、一町いつちやうほどとほとほうい——角邸かどやしきからひゞかないのは無論むろんである。
番茶話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
鍋町なべちやううらはう御座ございますかと見返みかへればいな鍋町なべちやうではなし、本銀町ほんしろかねちやうなりといふ、らばとばかりいだまた一町いつちやうまがりませうかとへば
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
※クトリヤ・ホテルは一町いつちやうとないところと云ふので、赤帽に鞄を持たせて、その跡を私等二入は歩いて行つた。わたしは目がめた。見えない暗い中も見とほせる程頭がはつきりとして来た。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
……のまだはなれないうちに、さしわたし一町いつちやうとははなれない中六番町なかろくばんちやうから黒煙くろけむりげたのがはじまりである。——同時どうじに、警鐘けいしよう亂打らんだした。
露宿 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
一町いつちやうばかり、麹町かうぢまち電車通でんしやどほりのはうつた立派りつぱ角邸かどやしき横町よこちやうまがると、其處そこ大溝おほどぶでは、くわツ、くわツ、ころ/\ころ/\とうたつてる。
番茶話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
あと、ものの一町いつちやうばかりは、眞白まつしろ一條いちでうみちひらけました。——ゆきうづヲばかりぐる/\とつゞいてく。……
雪霊続記 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)