一握ひとにぎ)” の例文
市平は、「こんな、自分のものってば、なんにもねえ土地に、一握ひとにぎりの土もねえ土地に、何がそんなに未練が残んべな?」
土竜 (新字新仮名) / 佐左木俊郎(著)
おじいさんは、おくから、かきといもぼんにのせてってきておんなわたし、べつにゆでたくりを一握ひとにぎり、それは、自分じぶんから子供こども両手りょうてれてやりながら
とうげの茶屋 (新字新仮名) / 小川未明(著)
やがて首を少し傾けて「わがおっとギルドフォード・ダッドレーはすでに神の国に行ってか」と聞く。肩をり越した一握ひとにぎりの髪がかろくうねりを打つ。
倫敦塔 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
旭川平原をずっとちぢめた様な天塩川の盆地ぼんちに、一握ひとにぎりの人家を落した新開町。停車場前から、大通りをかぎの手に折れて、木羽葺が何百か並んで居る。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
砂でみがき、刃物はもので手入れをされた竹は表皮のつやを消されて落ちついた青さであった。ぱさっと地をはたくように振ると、一握ひとにぎりの竹はのたうってそろう。
(新字新仮名) / 壺井栄(著)
こゝにぬぐひ扶桑ふさう第一の富士をいだせり、そのさま雪の一握ひとにぎりをおくが如し。人々手をうち、奇なりとび妙なりと称讃しようさんす。千しようけい応接おうせふするにいとまあらず。
「束鮒」は一束ひとつか、即ち一握ひとにぎり(二寸程)ぐらいの長さをいう。この結句の造語がおもしろいので選んで置いた。巻十四(三四九七)の、「河上の根白高萱ねじろたかがや」などと同じ造語法である。
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
こゝにぬぐひ扶桑ふさう第一の富士をいだせり、そのさま雪の一握ひとにぎりをおくが如し。人々手をうち、奇なりとび妙なりと称讃しようさんす。千しようけい応接おうせふするにいとまあらず。