“蹠”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
あしのうら33.3%
あしうら27.5%
うら14.5%
あなうら13.0%
かかと4.3%
あうら1.4%
あし1.4%
かゝと1.4%
くるぶし1.4%
せき1.4%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
ぎゃくに受くる膝頭ひざがしらのこのたびは、立て直して、長きうねりのかかとにつく頃、ひらたき足が、すべての葛藤かっとうを、二枚のあしのうらに安々と始末する。
草枕 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
鴾の細君の弱ったのは、爺さんが、おしきせ何本かで、へべったあと、だるいだるい、うつむけに畳に伸びたあしうらを踏ませられる。
開扉一妖帖 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
成程靴のうらは学者の生活ほど惨めに擦り減らされてゐた。馬の道も学者の道も、たつた一本しか用意してない日本の市街まちでは、何の無理も無かつた。
私たちがほとんど忘れたままでゐる自分のあなうらよりももつと低いところに。そして黄昏たそがれが消えると街は彼女の鏡を力無く取り落すのである。街と川とは別々に、秘密に満ちた夜闇に陥つて行くのである。
水に沈むロメオとユリヤ (新字旧仮名) / 神西清(著)
松崎が、立寄った時、カイカイカイと、ちょうど塀の内で木が入って、紺の衣服きものに、黒い帯した、円いしりが、かかとをひょい、と上げて、頭からその幕へ潜ったのを見た。
陽炎座 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
それが磁石じしゃくに吸いつく鉄屑てつくずのようにあうらにささりこんだようでもある。
星座 (新字新仮名) / 有島武郎(著)
眼とあし、眼と蹠という風に模様がはいってますのよ……。
たかるだけでしもせず喰ひつきもしないやつはいゝけれど、尺とりだけには用心せねばならない、足のかゝとからぼんくぼまで計られると三日の中になねばならないからなと
筑波ねのほとり (旧字旧仮名) / 横瀬夜雨(著)
彼の天鵞絨びろうどの靴の上には、褲子くうづの裾を巻きつけた、意気なくるぶしが動いてゐる。ちらちらと愉快さうに。
パステルの竜 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
まめのため踏みつけるたびに痛い足せきにひやひやして小石路を歩いたり、一つの地区から次の地区へ移るのに意外に暇どって、身体も疲れるが気力も疲れた。
長崎の鐘 (新字新仮名) / 永井隆(著)