あなうら)” の例文
私たちがほとんど忘れたままでゐる自分のあなうらよりももつと低いところに。そして黄昏たそがれが消えると街は彼女の鏡を力無く取り落すのである。街と川とは別々に、秘密に満ちた夜闇に陥つて行くのである。
水に沈むロメオとユリヤ (新字旧仮名) / 神西清(著)
をさなかるいのちゆるがせ遊ぶ子のあなうら見れば愛しあけせり
海阪 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
あなうらやはき『妖惑まよはし』のかぜおとなへば
白羊宮 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫薄田淳介(著)
いさごけぬ、あなうらのやや痛きかな
有明集 (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)
たゞあなうらに踏む湿潤な苔類の
石臼のほとりに飛べやかんすずめ地面ぢべたの雪にあなうらつけて
雀の卵 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
あなうらやはき「妖惑まよはし」の風おとなへば
泣菫詩抄 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫(著)
やはらかきねこ柔毛にこげと、あなうら
邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
あなうらのなまめき。——たたと
泣菫詩抄 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫(著)
悪獣のあなうらのごと血をたらす。
邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
にこ毛密なるあなうら
泣菫詩抄 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫(著)
槌つらね、あなうらうつは。
第二邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)