うら)” の例文
成程靴のうらは学者の生活ほど惨めに擦り減らされてゐた。馬の道も学者の道も、たつた一本しか用意してない日本の市街まちでは、何の無理も無かつた。
「なんしろ、俺の身体は頭の上に毛が幾本あって、足のうらに筋がいくつあるということまで、ちゃあんと呑込んでる先生だから、一目で見破られちまった」
瘡蓋かさぶたも体じゅうほとんがれて、わずかに足のうらに少し残っているだけである、と云うのであった。
細雪:02 中巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
攻めることはできるが、取ることはできねえ、びん破片かけらが立ってる壁越しに林檎りんごを盗んだことがあるか。国民兵が防寨に上ろうとすりゃあ、ガラス戸で足のうらを切っちまわあ。
渠等は立つて来て、リツプを取巻き、さも珍らし気に、頭の頂から足のうらまで見ました。
新浦島 (新字旧仮名) / ワシントン・アーヴィング(著)
椅子に腰かけている両足のうらを下から木槌きづちで急速に乱打するように感じた。
震災日記より (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
あなた方の中には時たま足のうらが痒かったり
細を穿うがって、部分々々を大映しにして、鼻の形、眼の形、唇の形、指の形、腕の曲線、肩の曲線、背筋の曲線、脚の曲線、手頸てくび、足頸、ひじ膝頭ひざがしら、足のうらまでも写してあり
痴人の愛 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
うらがこんなに痛んでるでせう、直しにやらうと思つてゐるのです。」
あれは目に刺されたとげ、足のうらとげだ。
「ちょっとの間部屋を明るくして下さい」と、螢光燈を点じさせた。児玉さんは、病人の右の足のうらと左の足の蹠の表面を、その棒の先でかかとから爪先へソロソロと数回擦り上げた。
(新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
右ノ足ガ二ツ、左ノ足ガ二ツ、水中ニアルヨウニ浮遊シテイルノガ、ソノ肌ノ白カッタヿトイッタラナカッタ。シカシ形ハ紛レモナク彼女ノ足デアッタ。足ト並ンデ、足ノうらガマタ別ニ浮カンデイタ。
(新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
時々足のうらが熱くなると毬を廻して別な所をんでいた。
細雪:01 上巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)