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蹠
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あしうら
ふりがな文庫
“
蹠
(
あしうら
)” の例文
鴾の細君の弱ったのは、爺さんが、おしきせ何本かで、へべったあと、だるいだるい、うつむけに畳に伸びた
蹠
(
あしうら
)
を踏ませられる。
開扉一妖帖
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
たとへば舞をまふ女の、その二の
蹠
(
あしうら
)
を地にまた互ひに寄せてすゝみ、ほとんど
一足
(
かたあし
)
を一足の先に置かざるごとく 五二—五四
神曲:02 浄火
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
何かの上へ、
蹠
(
あしうら
)
がのって滑ったからであった。そして、無意識に、荒木が、打込んでくるであろう刀を防ごうとした時、身体が崩れてよろめいた。
寛永武道鑑
(新字新仮名)
/
直木三十五
(著)
グンニャリとした軟らかい物を
蹠
(
あしうら
)
に感じた。萼が崩れ落ちた。一筋の釣り手が、切って落とされたのである。その背後へ、巨大な丸太がノシ上がった。
血曼陀羅紙帳武士
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
はだしであるいていると、
蹠
(
あしうら
)
の感触が少年の夢をよびかえす。そこに白髪の感傷家がさまようているとは。——
『鉢の子』から『其中庵』まで
(新字新仮名)
/
種田山頭火
(著)
▼ もっと見る
初めはやわらかく
控
(
ひか
)
え目に、つづいて全体量をこめて、交互に動いた。女の厚ぼったい足に接して、彼は自分の
蹠
(
あしうら
)
がスルメみたいに薄く、平たいことを感じる。
幻化
(新字新仮名)
/
梅崎春生
(著)
嫂の声に思いがけぬ
艶
(
つや
)
の
籠
(
こも
)
っているのを知って、正三は
蹠
(
あしうら
)
まで
赭
(
あか
)
くなるような気持を感じながら、熱めの湯槽の中へ身を沈めた。純子はさぐるような微笑をみせて
豹
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
あけられた障子うちに、すぐ床をしき、奥さんらしい人がねそべり、よく働いたらしい
膏
(
あぶら
)
のぬけた
蹠
(
あしうら
)
がこちらへ向いて見えた。見当をつけ
此処
(
ここ
)
の家だなと思った。
童子
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
白い
蹠
(
あしうら
)
をヒラヒラさせながら、いったん、ずっと深くもぐって、両手で下からローリーさんの腹を押しあげるようにして浮いてきた。顔じゅう、水だらけにしながら
キャラコさん:07 海の刷画
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
彼はその後に従ってゆきながら、息をあえぎ、眼に涙を浮べ、足をすくめ、
掌
(
たなごころ
)
から
蹠
(
あしうら
)
にいたるまでぞっとしていた。血潮は襲撃の譜を鳴らしていた。そして彼は震えていた。
ジャン・クリストフ:03 第一巻 曙
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
冷たい茣蓙の下に感じる
蹠
(
あしうら
)
の感覚の快さを知っているものだ。そして茣蓙を敷くやいなやすぐその上へ跳び込んで、着物ぐるみじかに地面の上へ転がれる自由を楽しんだりする
城のある町にて
(新字新仮名)
/
梶井基次郎
(著)
「五月雨や仏の花を捨てに出る」その花の
褪
(
あ
)
せた色も香も、「秋雨や水底の草
蹈
(
ふ
)
みわたる」散策子の
蹠
(
あしうら
)
の感覚も、「楠の根を静かにぬらす時雨」の沈静な風趣も、悉く好もしい。
雨の日
(新字新仮名)
/
辰野隆
(著)
縁側を歩かせるとまだ足が不たしかで、
羽二重
(
はぶたえ
)
のようになめらかな
蹠
(
あしうら
)
は力なく板の上をずるずるすべった。三毛を連れて来てつき合わせると三毛のほうが非常に驚き恐れて背筋の毛を逆立てた。
子猫
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
蹠
(
あしうら
)
にひんやりするスリッパの音をぺたつかせて廊下をつたっていった。
放浪作家の冒険
(新字新仮名)
/
西尾正
(著)
なきながら小舎の屋根の上で絶えず
蹠
(
あしうら
)
をふみかえているのであった。
犬三態
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
縁板が
蹠
(
あしうら
)
に吸いつくかと思われるように寒い晩になっていた。
親子
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
と、あの穿きにくいゴム底靴の感覚がすぐ僕の
蹠
(
あしうら
)
にある。
魔のひととき
(新字旧仮名)
/
原民喜
(著)
我は
一者
(
ひとり
)
の前を走れる千餘の
滅亡
(
ほろび
)
の魂をみき、この者
徒歩
(
かち
)
にてスティージェを渡るにその
蹠
(
あしうら
)
濡るゝことなし 七九—八一
神曲:01 地獄
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
お来さんが、通りがかりに、ツイとお
位牌
(
いはい
)
をうしろ向けにして
行
(
ゆ
)
く……とも知らず、とろんこで「御先祖でえでえ。」どろりと寝て、お京や、
蹠
(
あしうら
)
である。
開扉一妖帖
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
脛
(
すね
)
までひたして、がばがばと歩き廻り、また波打際にとって返す。波打際で海に向って立っていると、波が静かに押し寄せて来て、
蹠
(
あしうら
)
や
踵
(
かかと
)
の下の砂をすこしずつ
攫
(
さら
)
って行く。
幻化
(新字新仮名)
/
梅崎春生
(著)
啓蟄
(
あなをで
)
て間のない小蛇が、井戸端の
湿地
(
しめじ
)
に、灰白い紐のように延びていたが、草履を飛ばせ、
跣足
(
はだし
)
となり、白い
蹠
(
あしうら
)
をあらわしている死骸の染八の、その蹠の方へ這い寄って行った。
血曼陀羅紙帳武士
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
蹠
(
あしうら
)
海の小品
(新字旧仮名)
/
原民喜
(著)
伏したる者あり、頭を上にまたは
蹠
(
あしうら
)
を上にむけて立てる者あり、また弓の如く顏を
足元
(
あしもと
)
に垂れたる者ありき 一三—一五
神曲:01 地獄
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
我この歌をうたへる間、彼は怒りに刺されしか或ひは恥に刺されしか、はげしく二の
蹠
(
あしうら
)
を
搖
(
ゆ
)
れり 一一八—一二〇
神曲:01 地獄
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
蹠
漢検1級
部首:⾜
18画
“蹠”を含む語句
対蹠
対蹠的
足蹠
対蹠点
對蹠的
先蹠
蹠下
蹠疵
蹠裏