“みずし”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
御厨子37.8%
水仕21.6%
御廚子21.6%
水止5.4%
婢女2.7%
御廟子2.7%
水使2.7%
水須2.7%
炊女2.7%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
不浄よけの金襴きんらんきれにくるんだ、たけ三寸ばかり、黒塗くろぬりの小さな御厨子みずしを捧げ出して、袈裟けさを机に折り、その上へ。
草迷宮 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
上下をすべて切って廻せば、水仕みずしのお松は部屋に引込ひっこみ、無事に倦飽あぐみて、欠伸あくびむと雑巾を刺すとが一日仕事、春昼せきたりというさまなり。
貧民倶楽部 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
戸張とばりを垂れた御廚子みずしわきに、造花つくりばな白蓮びゃくれんの、気高くおもかげ立つに、こうべを垂れて、引退ひきしりぞくこと二、三尺。心静かに四辺あたりを見た。
春昼 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
両門岩から東は倒木が次第に多くなり、峰頭はいずれも真白にされた立枯の白檜が縦横に入り乱れて、通過を妨げているので、之を潜り抜け跨ぎえるのが容易でない。水止みずしの頂上は最も甚しかった。
思い出す儘に (新字新仮名) / 木暮理太郎(著)
また、不思議な事には、その家の婢女みずしをしていた阿濃あこぎという女は、同じ所にいながら、薄手一つ負わなかった。
偸盗 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
まだ台盤所だいばんどころ婢女みずしをしていたころの事を思えば、——いや、思いがけない身分ちがいの男に、いどまれて、とうとう沙金しゃきんを生んだころの事を思えば、今の都は、名ばかりで
偸盗 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
御廟子みずしの裏へ通う板廊下の正面の、すだれすかしの観音びらきのが半ば開きつつ薄明うすあかるい。……それをななめにさしのぞいた、半身の気高い婦人がある。
夫人利生記 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
隅田川・桜川・柏崎かしわざき三井寺みいでら等の十数篇の謡曲を始めとして、近くは駿州のうばヶ池、下野足利しもつけあしかが水使みずしの淵、または仙台の小鶴が池の伝説の如く、子を失った親の悲しみを取扱った民間の文芸ほど
針木はりのき谷の南沢を遡り、南沢岳より尾根を縦走して鷲羽岳に達し、黒部源流に下り、薬師沢を上りて薬師野(太郎兵衛平)を横切り、有峰を経て東笠西笠両山の間を水須みずしに出る路程
黒部川を遡る (新字新仮名) / 木暮理太郎(著)
どうも話の容子ようすでは、この婆さんが、今まであの男の炊女みずしか何かつとめていたらしいのでございます。が、男の商売の事になると、妙に一口も話しませぬ。
(新字新仮名) / 芥川竜之介(著)