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べんじよ
氣に
入りの
玄竹を
相手に、
夜の
更けるのを
忘れてゐた
但馬守は、
幾ら
飮んでも
醉はぬ
酒に、
便所へばかり
立つてゐたが、
座敷へ
戻る
度に、
其の
顏の
色の
蒼みが
増してくるのを
梯子段を
上ると、
廊下の
片側に
顔を
洗ふ
流し
場と
便所の
杉戸があり、
片側には三
畳と六
畳の
座敷が
三間ほど、いづれも
客があるらしく
閉め
切つた
襖の
外にスリツパが
㧞ぎ
捨てゝある。
『
此ン
畜生! やい
毆殺して
了へ!
殺しても
足るものか、
便所にでも
敲込め!』