“ひとう”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
一撃31.3%
一打18.8%
飛騰12.5%
一討6.3%
比島6.3%
6.3%
人失6.3%
簸盪6.3%
緋桃6.3%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
たった一撃ひとうちに蜘蛛の眼と眼の間へ突込んで殺してしまいますと、つづいて同じ短刀でお妃に巻きついた糸をズタズタに切り破ってお妃を助け出しました。
オシャベリ姫 (新字新仮名) / 夢野久作かぐつちみどり(著)
が、此のまゝにしても生命いのちはあるまい。う処置しようと猶予ためらふうちに、一打ひとうあおつて又飛んだ。
妖魔の辻占 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
誠は指頭しとうよりほとばしって、とが毛穎もうえいたんに紙を焼く熱気あるがごとき心地にて句をつづる。白紙が人格と化して、淋漓りんりとして飛騰ひとうする文章があるとすれば道也の文章はまさにこれである。
野分 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
すぐそこをピタピタといく跫音あしおとを聞くのであるが、ただ一討ひとうちにとびかかってはいかれない。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
腹心の剛力ごうりき荒木田五兵衛あらきだごへえは、忍剣にびかかって、ただ一討ひとうちとなる。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
二兎にとを追う者は一兎をも得ずだ。余が意見に従って真一文字に比島ひとうを目指して攻撃したなら、あんなことはなかった。
諜報中継局 (新字新仮名) / 海野十三(著)
それは今回の総力比島ひとう攻撃に用意した物量が非常に大きかったから、その惰力だりょくで今は敵を押しているのだ。しかし後二週間ち三週間経つと、この影響は深刻に戦闘力の上に加わってくる。
諜報中継局 (新字新仮名) / 海野十三(著)
ひとうつと数え、二つ三つとかぞえ、九時ごろになったのかしらといい加減びっくりしていると、八つ打ってもまだやまず、九つうってもまだやまず、どう? 十一打ってやっとやみました。
世移り人失ひとうせぬれば、都は今は故郷ふるさとならず、滿目奮山川、ながむる我も元の身なれども、變り果てし盛衰に、憂き事のみぞ多かる世は、嵯峨の里も樂しからず、高野山に上りて早や三年みとせ
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
びょうたる一山僧の身をもって、燕王えんおうを勧めて簒奪さんだつあえてせしめ、定策決機ていさくけっき、皆みずから当り、しん天命を知る、なんぞ民意を問わん、というの豪懐ごうかいもって、天下を鼓動し簸盪ひとう
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
緋桃ひとうが、連翹れんぎょうが、樝子しどみが、金盞花きんせんかが、モヤモヤとした香煙の中に、早春らしく綻びて微笑わらっていた。また文弥君が、最前の短歌を繰り返し繰り返し、朗詠しだした。
随筆 寄席風俗 (新字新仮名) / 正岡容(著)