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なにごゝろ
鉛の
重かとおもふ
心持、
何か
木の
実でゞもあるか
知らんと、二三
度振て
見たが
附着いて
居て
其まゝには
取れないから、
何心なく
手をやつて
掴むと、
滑らかに
冷りと
来た。
頭の
上には
廣告が
一面に
枠に
嵌めて
掛けてあつた。
宗助は
平生これにさへ
氣が
付かなかつた。
何心なしに一
番目のを
讀んで
見ると、
引越は
容易に
出來ますと
云ふ
移轉會社の
引札であつた。
嗚呼がましけれど
雪三が
生涯の
企望はお
前さま
御一
身の
御幸福ばかりと、
言ひさして
詞を
切りつ
糸子が
面じつと
眺めぬ、
糸子何心なく
見返して、
我は
花々しき
身にならんの
願ひもなく