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とつさき
後に
煬帝遼東を
攻むる
時、
梯子を
造りて
敵の
城中を
瞰下す。
高さ
正に
十五丈。
沈光其の
尖端に
攀ぢて
賊と
戰うて
十數人を
斬る。
城兵這奴憎きものの
振舞かなとて、
競懸りて
半ばより、
梯子を
折く。
「すると、落ちた櫓の
尖端からは、二三間は離れてゐたわけだな」
淋しい風が吹いて來て、一本
圖拔けて背の高い冠のやうな
檜葉の
突先がひよろ/\と風に搖られた。
何処までも
人を
凌いだ
仕打な
薬売は
流盻にかけて
故とらしう
私を
通越して、すた/\
前へ
出て、ぬつと
小山のやうな
路の
突先へ
蝙蝠傘を
差して
立つたが、
其まゝ
向ふへ
下りて
見えなくなる。