-
トップ
>
-
さんりん
第七 一ヶ
月五六
度は
必ず
村里を
離れたる
山林或は
海濱に
出で、四五
里の
道を
歩行すべき
事。
それは
主に
海岸の
砂丘に
起つたものであつて
根府川の
山津浪とは
比較にならなかつたけれども、
雪崩れ
下つた
距離が
五六町に
及び、
山林、
田園道路に
可なりな
損害を
與へた。
奇樹崖に
横たはりて
竜の
眠るが
如く、
怪岩途を
塞ぎて
虎の
臥すに
似たり。
山林は
遠く
染て
錦を
布き、
礀水は
深く
激して
藍を
流せり。
金壁双び
緑山連りたるさま画にもおよばざる
光景也。