-
トップ
>
-
いがくし
醫學士の
細井といふ
色白の
人にも
極まりかゝつたに、
引違へて
旦那樣のやうな
無口さまへ
嫁入つて
來たは
何うかいふ
一時の
間違ひでもあらう、
此間違ひを
此まゝに
通して
お
珍らしやお
高さま
今日の
御入來は
如何いふ
風の
吹まはしか
一昨日のお
稽古にも
其前もお
顏つひにお
見せなさらずお
師匠さまも
皆さまも
大抵でないお
案じ
日がな
一日お
噂して
居ましたと
嬉しげに
出迎ふ
稽古朋輩錦野はな
子と
呼ばれて
醫學士の
妹博愛仁慈の
聞えたかき
兄を
発見者は、
老人の
家のすぐとなりに
住んでいて、
去年あたり
開業した
島本守という
医学士だつたが、
島本医師は、
警察へ
事件を
通報すると
同時に、
大要次のごとく、その
前後の
事情を
述べた。