“葉(ば)” の例文
そのうちに、嵐(あらし)は、だんだんきちがいじみてきた。しまいに羽(はね)を捲(ま)き上(あ)げて、空中(くうちゅう)を落(お)ち葉(ば)といっしょに、吹(ふ)き飛(と)ばしたのでした。
寒い日のこと (新字新仮名) / 小川未明(著)
見渡すかぎり蒼茫(そうぼう)たる青山の共同墓地に入(い)りて、わか葉(ば)の扇骨木籬(かなめがき)まだ新らしく、墓標の墨の痕(あと)乾きもあえぬ父の墓前に跪(ひざまず)きぬ。
父の墓 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
その品々を煮汁とともにお米へ混ぜてまた味加減をして煮ますがお櫃(ひつ)へ移す時別に湯煮た三(み)つ葉(ば)の細かく切ったのをバラバラと振りかけます。
食道楽:秋の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
雨になったのでいっそうせいてやってるようすである。もとより湿(しっ)けのある朽(く)ち葉(ば)に、小雨(こさめ)ながら降ってるのだから、火足(ひあし)はすこしも立たない。
告げ人 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
そして殘(のこ)つた四分(しぶん)の三(さん)の雨(あめ)が葉(は)から枝(えだ)、枝(えだ)から幹(みき)へ流(なが)れて、徐々(じよ/\)に地面(じめん)に落(お)ち、そこにある落(お)ち葉(ば)に吸(す)ひ取(と)られるのです。
森林と樹木と動物 (旧字旧仮名) / 本多静六(著)
たった今穎被(かいわ)れ葉(ば)を出したかと思ったのが、もう二、三寸も伸びて本葉(もとは)を開いている。この分ならばやがて葉も摘(つ)めよう。花も咲こう、実もなろう。
饂飩屋(うどんや)の横を、嘉三郎は、黙って奥へ這入(はい)って行った。庭に栗の木が一本あって、濡(ぬ)れ葉(ば)がばらばらと、顔に触れた。そして、栗の花の香(か)が鼻に泌(し)みた。
栗の花の咲くころ (新字新仮名) / 佐左木俊郎(著)
恨(うら)みにでも思(おも)ふだけがお前(まへ)さんが未練(みれん)でござんす、裏町(うらまち)の酒屋(さかや)の若(わか)い者(もの)知(し)つてお出(いで)なさらう、二葉(ば)やのお角(かく)に心(しん)から落込(おちこ)んで、かけ先(さき)を殘(のこ)らず使(つか)ひ込(こ)み
にごりえ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
するともう鷺(さぎ)は、かたまって安心(あんしん)して死(し)んじまいます。あとはもう、わかり切ってまさあ。押(お)し葉(ば)にするだけです
銀河鉄道の夜 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
槲(かしは)やナラの葉の、赤い色が褪せて、乾反(ひぞ)り葉(ば)になつてしまつてから、やうやく色づくのだと云はれるイタヤもみぢも、その一と角に既に眞ツ赤に紅葉してゐる。
泡鳴五部作:05 憑き物 (旧字旧仮名) / 岩野泡鳴(著)
櫻(さくら)のわくら葉(ば)のぱら/\と落(お)ちかゝるにさへ、婦(をんな)は聲(こゑ)を發(た)て、男(をとこ)はひやりと肝(きも)を冷(ひや)して居(ゐ)るのであつた。
露宿 (旧字旧仮名) / 泉鏡花、泉鏡太郎(著)
いはば私(わたし)にとつては實(じつ)に好(こう)々敵(てき)手だつたのだが、先生今や東北青葉(ば)城(ぜう)下に去(さ)つて久しく相(あひ)見ゆる機(き)を得(え)ない。時々思(おも)ひ出すと、私(わたし)には脾肉(にく)の歎(たん)に堪(た)へないものがあるのである。
文壇球突物語 (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
大坂(おほさか)を吾(わ)が越(こ)え来(く)れば二上(ふたがみ)にもみぢ葉(ば)流る時雨(しぐれ)零(ふ)りつつ 〔巻十・二一八五〕 作者不詳
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
かれのまくら元には、朽(く)ち葉(ば)に巣をつづる土蜘蛛(つちぐも)がはい、陽(ひ)をみぬ菌(きのこ)が妖(あや)しく生(は)えならんでいようとも、それはかれの事実ではないのだ。かれは思いのまま仙窟(せんくつ)を夢のなかに呼び降ろした。
彈(はじ)き葉(ば)のあさみどりなる、内紅(あか)く紫くろき、層(かさ)厚く七重八重なる、葉牡丹は大いにうれし。牡丹とも見ずや葉牡丹、値(ね)は廉(やす)きその株ながら、株立つとこの庭も狹(せ)に、豐かなり乏しともなし。
白南風 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
帛紗(ふくさ)に包んで、お紋の父河村靱負の形見という短刀、——主君本多上野介が、東照権現様から頂いて、靱負に預けたままになったという、三(み)つ葉(ば)葵(あおい)の紋を散らした因縁付きの短刀——を置いて
雪の側はいわゆる御花畑で、四(よ)ツ葉(ば)塩釜(しおがま)、白山一華(はくさんいちげ)、小岩鏡(こいわかがみ)などが多い。
白峰山脈縦断記 (新字新仮名) / 小島烏水(著)
褐紫色(かっししょく)の桜のわくら葉(ば)を下駄の歯でかき寄せながら吉三郎は口を切った。
路傍(みちばた)に『酸(す)い葉(ば)』でも見つけると、それを生でムシヤ/\食ひました。
この山中には五(いつ)つ葉(ば)のうつ木(ぎ)ありて、その下に黄金を埋めてありとて、今もそのうつぎの有処(ありか)を求めあるく者稀々(まれまれ)にあり。この長者は昔の金山師なりしならんか、このあたりには鉄を吹きたる滓(かす)あり。
遠野物語 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
もみぢ葉(ば)の散りゆくなべにたまづさの使(つかひ)を見れば逢(あ)ひし日思(おも)ほゆ
大和路・信濃路 (新字新仮名) / 堀辰雄(著)
藪(やぶ)と御堂(みどう)の間(あいだ)のしめった落(お)ち葉(ば)をはいた。
ごんごろ鐘 (新字新仮名) / 新美南吉(著)
うは葉(ば)散(ち)り透(す)く神無備(かみなび)の森(もり)の小路(こみち)を
白羊宮 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫、薄田淳介(著)
おち葉(ば)……おち葉(ば)……夜(よ)もすがら……
晶子詩篇全集 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
清(きよ)ちゃんは、門(もん)を入(はい)って大(おお)きないちょうの木(き)の下(した)で、落(お)ち葉(ば)を拾(ひろ)って、お家(うち)へ帰(かえ)ると、それを入(い)れて、幸(こう)ちゃんのところへ、手紙(てがみ)を出(だ)しました。
いちょうの葉 (新字新仮名) / 小川未明(著)
このほかもみぢ葉(ば)の形(かたち)をしてゐない葉(は)でも、いろ/\紅葉(もみぢ)するものがあるのは、みなさんもよくご存(ぞん)じでせう。
森林と樹木と動物 (旧字旧仮名) / 本多静六(著)
源四郎(げんしろう)はなお屋敷(やしき)のすみずみの木立(こだ)ちのなか垣根(かきね)のもとから、朽(く)ち葉(ば)やほこりのたぐいをはきだしては、物置(ものお)きのまえなる栗(くり)の木のもとでそれを燃(も)やしている。
告げ人 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
おい木村(きむら)さん信(しん)さん寄(よ)つてお出(いで)よ、お寄(よ)りといつたら寄(よ)つても宜(い)いではないか、又(また)素通(すどほ)りで二葉(ば)やへ行(ゆ)く氣(き)だらう、押(おし)かけて行(ゆ)つて引(ひき)ずつて來(く)るからさう思(おも)ひな
にごりえ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
散(ち)る、風(かぜ)なくして散(ち)る其(その)もみぢ葉(ば)の影(かげ)の消(き)ゆるのは、棚田(たなだ)、山田(やまだ)、小田(をだ)の彼方此方(あちこち)、砧(きぬた)の布(ぬの)のなごりを惜(をし)んで徜徉(さまよ)ふ状(さま)に、疊(たゝ)まれもせず、靡(なび)きも果(は)てないで、力(ちから)なげに
魔法罎 (旧字旧仮名) / 泉鏡花、泉鏡太郎(著)
弾(はじ)き葉(ば)のあさみどりなる、内紅(あか)く紫くろき、層(かさ)厚く七重八重なる、葉牡丹は大いにうれし。牡丹とも見ずや葉牡丹、値(ね)は廉(やす)きその株ながら、株立つとこの庭も狭(せ)に、豊かなり乏しともなし。
白南風 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
小山の妻君が研究顔に「この取合せ物は何(な)んでございます」お登和嬢「それは仏蘭西(ふらんす)のそうめんと三(み)つ葉(ば)が入れてあります」大原舌(した)打鳴(うちな)らし「アア美味い」とチュウチュウ音をさせスープを歃(すす)る。
食道楽:春の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
「鷺(さぎ)を押(お)し葉(ば)にするんですか。標本(ひょうほん)ですか」
銀河鉄道の夜 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
日(ひ)は水(みづ)の如(ごと)、事榮(ことばえ)のおち葉(ば)を浮(う)けて
白羊宮 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫、薄田淳介(著)
かのもみぢ葉(ば)にきたるとき
若菜集 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
わくら葉(ば)
新書太閤記:07 第七分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
風(かぜ)に吹(ふ)かれて、落(お)ち葉(ば)は、その火(ひ)の周囲(まわり)に渦巻(うずま)いていました。しかし、すわっている人(ひと)は、じっとして動(うご)きませんでした。
幸福のはさみ (新字新仮名) / 小川未明(著)
はり板(いた)をふみたてる牛の足音がバタバタ混合(こんごう)して聞こえる。主人も牛舎(ぎゅうしゃ)へでた。乳牛(にゅうぎゅう)はそれぞれ馬塞(ませ)にはいって、ひとりは掃除(そうじ)にかかる、ひとりは飼(か)い葉(ば)にかかる。
箸 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
つまり落(お)ち葉(ば)は冬(ふゆ)の寒(さむ)い時(とき)には夏(なつ)の間(あひだ)に盛(さか)んに根(ね)に貯(たくは)へた養分(ようぶん)をそのまゝ持(も)つて休養(きゆうよう)するのです。
森林と樹木と動物 (旧字旧仮名) / 本多静六(著)
而(そ)して、おしたぢならおしたぢ、葱(ねぎ)なら葱(ねぎ)、三(み)つ葉(ば)なら三(み)つ葉(ば)でよからうと言(い)つて居(ゐ)る。
廓そだち (旧字旧仮名) / 泉鏡花、泉鏡太郎(著)
あやしうつむりのなやましうて、夢のやうなるきのふ今日、うき世(よ)はしげるわか葉(ば)のかげに、初(はつ)ほとゝぎすなきわたる頃(ころ)を、こぞの秋袷(あきあはせ)ふるめかしう取出(とりいで)ぬる、さりとは心もなしや。
あきあはせ (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
わか葉(ば)洩(も)る入日(いりひ)を浴(あ)びてあかあかと遙(はる)に笑(わら)ひき。
第二邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
黄櫨(はじ)のうは葉(ば)はくれなゐに
白羊宮 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫、薄田淳介(著)
かのもみぢ葉(ば)にきたるとき
藤村詩抄:島崎藤村自選 (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
「すこし休(やす)めや。」と、ときどき顔(かお)を上(あ)げていうであろう。そして、炉(ろ)に枯(か)れ枝(えだ)や、松(まつ)の落(お)ち葉(ば)などを入(い)れるであろう。
波荒くとも (新字新仮名) / 小川未明(著)
そういう兼吉(かねきち)は、もはや飼(か)い葉(ば)をすませて、おぼれ板(いた)の掃除(そうじ)にかかったのだ。うまやぼうきに力を入れ、糞尿(ふんにょう)相混(あいこん)じた汚物(おぶつ)を下へ下へとはきおろしてきたのである。
箸 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
……今(いま)の鍋下(なべした)、おしたぢを、むらさき、ほん五分(ごぶ)に生(なま)二(に)なぞと來(き)て、しんこと聞(き)くと悚然(ぞつ)とする。三(み)つ葉(ば)を入(い)れないで葱(ねぎ)をくれろといふ時(とき)にも女中(ぢよちう)は「みつなしの本(ほん)五分(ごぶ)ツ」といふ。
廓そだち (旧字旧仮名) / 泉鏡花、泉鏡太郎(著)
さなくて卒爾(うちつけ)に文(ふみ)など參(まゐ)らせたるを如何(いか)に厭(いと)はしと思(おぼ)しながら返(かへ)しせざらんも情(なさけ)なしとて彼(あ)れよりは夫(それ)となく御出(おいで)のなきか此頃(このごろ)のお哥(うた)の心(こゝろ)は如何(いか)に茂(しげ)るわか葉(ば)の今(いま)こそは闇(く)らけれど時節(じせつ)を
五月雨 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
ひと叢(むら)の樟(くす)のわか葉(ば)の黄金(こがね)いろ
第二邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
時雨(しぐれ)に染むるもみぢ葉(ば)は
藤村詩抄:島崎藤村自選 (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
ちょうど秋(あき)の末(すえ)のことで、翌朝(よくちょう)、歯医者(はいしゃ)へいくとき、寺(てら)の前(まえ)を通(とお)って、黄色(きいろ)な、いちょうの落(お)ち葉(ば)がたくさん敷石(しきいし)の上(うえ)にたまっているのを見(み)ました。
金歯 (新字新仮名) / 小川未明(著)