“捲”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
63.1%
まく30.3%
めく2.9%
まか1.0%
まき0.8%
はぐ0.4%
0.4%
0.2%
くる0.2%
0.2%
0.2%
まくっ0.2%
0.2%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
囃子の音寂然ひっそとなりぬ。粛然として身を返して、三の松を過ぎると見えし、くるりといたる揚幕に吸わるるごとく舞込みたり
照葉狂言 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
襤褸ぼろシャツをまくりあげた二の腕に「禍の子」「自由か死か」という物凄い入墨の文字が顔を出しているのをも、彼は見逃さなかった。
寝台の上の深々とした羽根蒲団をパッとめくり挙げてみて、返す足で寝台の横手へ駈け込んで、大きな姿見の付いた衣装戸棚を全部あけっ放した。
陰獣トリステサ (新字新仮名) / 橘外男(著)
さも貴女と御新造さんがけむまかれて赤い舌でめられていなさるようで、わっし身体からだへ火がつくようだ。
式部小路 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
おゆうはまだ水気の取りきれぬ髪のはじに、紙片かみきれまきつけて、それを垂らしたまま、あたふた家を出ていった。
あらくれ (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
一冊づゝ順々に取りげて、くらいながら二三ページはぐる様にとほしたが何処どこも彼の注意をく様な所はなかつた。最後の一冊に至つては、其名前さへ既に忘れてゐた。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
そうしてその時は外面そとを狂い廻る暴風雨あらしが、木を根こぎにしたり、へいを倒したり、屋根瓦をくったりするのみならず、今薄暗い行灯あんどんもとで味のない煙草たばこを吸っているこの自分を
行人 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
省三は急いで茶碗を持ってめしき込むようにしたが、いやなことを考え込んでいたために婢が変に思ったではないかと思ってきまりが悪かった。
水郷異聞 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
額に八千代の唇が触つたやうな気持がして楯彦氏は吃驚びつくりして目を覚ました。鏡を見ると、白い布片きれくるまつた毬栗いがぐりな自分の額が三ぶんの一ばかり剃り落されてゐる。
兄はしめつけられながらも、敵の正体を見極めようと、首をうしろへじ向けそうにしました。
寝台ベツドの上にいた蒲団を見ると真白まつしろである。うへへ掛けるものも真白まつしろである。それを半分はんぶはすぐつて、すその方があつく見える所を、ける様に、女は窓をにして腰を掛けた。足はゆかに届かない。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
ただその徳川が開国であると云うのは、外国交際のしょうあたって居るから余儀なく渋々しぶしぶ開国論にしたがって居たけの話で、一幕まくっ正味しょうみ楽屋がくやを見たらば大変な攘夷藩だ。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
雲は火となり、日は八尺ハツシヤクの鏡と燃え、青い響きの吹雪を、吹きく嵐——。
死者の書 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)