はは)” の例文
「いい子供こどもまれて、親木おやぎは、それで満足まんぞくして、れていくんですよ。人間にんげんも、かわりはありません。」と、はははいわれたのです。
親木と若木 (新字新仮名) / 小川未明(著)
時男さんの家は、私と同じやうにちちははと三人暮しで、そのお母さんといふ人は、いつ見ても大そうきれいな身なりをしてゐました。
時男さんのこと (新字旧仮名) / 土田耕平(著)
もっともこれは地上ちじょうははいて申上もうしあげることで、肉体にくたいててしまってからのはは霊魂たましいとは、むろん自由自在じゆうじざいつうじたのでございます。
一休いっきゅうさんは、応永元年おうえいがんねんがつ一日ついたち将軍義満しょうぐんよしみつが、その義持よしもちしょくをゆずったとし南朝なんちょう後小松天皇ごこまつてんのうちちとし、伊予局いよのつぼねははとしてうまれました。
先生と父兄の皆さまへ (新字新仮名) / 五十公野清一(著)
幾時間いくじかんたっても彼はあきなかった。はははそれを気にもとめなかったが、やがて、たまらなくなって、ふいにしかりつけるのだった。
ジャン・クリストフ (新字新仮名) / ロマン・ロラン(著)
老母、妻にも、こころざしは申し聞けず、様子にて、さとり候も不知しらず、いよいよ相果あいはて候わば、ははつまの儀、御芳志たのみ奉り候。
おたずねになっている常磐ときわでございます。三にん子供こどもをつれて出ました。わたくしはころされてもようございますから、ははいのちをおたすくださいまし。
牛若と弁慶 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
諭吉ゆきち長崎ながさきにいては、せがれ壱岐いき出世しゅっせのじゃまになるから、中津なかつへよびもどしてくれ。ただし、そのりゆうには、はは病気びょうきだといってやれ。」
さいわいな事には、他の一面にはははの型があって、これも永遠に滅びない。母の型の女は、子を欲しがっていて、母として子を可哀かわいがるばかりではない。
青年 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
ソログーブはおさなときからはは奉公先ほうこうさきやしきで、音楽おんがく演劇えんげきなどにしたしむ機会きかいち、読書どくしょたいするふか趣味しゅみやしなわれた。
身体検査 (新字新仮名) / フョードル・ソログープ(著)
衞國ゑいこくはふひそかきみくるまするものつみ(一〇七)げついたる、すでにして彌子びしははむ。ひとき、いてよるこれぐ。彌子びしいつはつてきみくるましてづ。
しずかにかたをかけたが、いつもと様子ようすちがったおせんは、はははらうようにして、そのままたたみざわりもあらく、おのが居間いまんでった。
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
女中に「抜毛を竹の根元に埋めると倍になって生えるそうだ」とははが「裏の姫竹の根に埋めておやり」と命じた。
秋毛 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
わずか収入しゅうにゅうはは給養きゅうようにもきょうせねばならず、かれついにこの生活せいかつにはれず、断然だんぜん大学だいがくって、古郷こきょうかえった。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
「京都著名老鋪ろうほ財数十万戸主家系由緒身健品正風采紳士さけ不嗜たしなまず店雇人十数工場雇人数十ははろういもうとかす弟分家無係累むけいるい
嫁取婿取 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
テツトン国へ帰ればアアアアアちちイイイイははのチチチチンチンチンチンチンチイン〔思ひも寄らぬ夫定つまさだめ……
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
垂乳根たらちねはは手放てはなくばかりすべなきことはいまだなくに 〔巻十一・二三六八〕 柿本人麿歌集
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
台屋だいやのかたでは、源四郎の細君さいくんまさとままははわかいやといおんなとの三人が、なにかまじめに話をしながら、ままははははすのかわをはぎ、お政と女はつと豆腐どうふをこしらえてる。
告げ人 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
ぬる湯一杯たまはらん情もなきに、まして他人のれにかかこつべき、月の十日にははさまが御墓おんはかまゐりを谷中やなかの寺に楽しみて、しきみ線香それぞれの供へ物もまだ終らぬに
ゆく雲 (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
それきたれるはひとをそのちちより、むすめをそのははより、よめをその姑嫜しゅうとめよりわかたんためなり。ひとあだは、そのいえものなるべし。われよりもちちまたはははあいするものは、われ相応ふさわしからず。
斜陽 (新字新仮名) / 太宰治(著)
ところで周三が家庭に於ける立場である。自體じたい彼は子爵ししやく勝見家かつみけに生まれたのでは無い。成程ちゝ子爵ししやくは、彼のちちには違ないが、はは夫人ふじんは違ツたなかだ。彼は父子爵のめかけの]はらに出來た子で、所謂庶子しよしである。
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
そはおそろしきXなり。みだらにして不倫ふりんなるははのごとく
東京景物詩及其他 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
さうだ 想像さうざう発明はつめいははだ!
ははらねば、たぬ
白羊宮 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫薄田淳介(著)
はは刀自とじ枕屏風まくらびょうぶ
夜明け前:04 第二部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
又はととはは様恋し
猿小僧 (新字新仮名) / 夢野久作萠円山人(著)
あるところに、性質せいしつちがった姉妹きょうだいがありました。おなはははらからまれたとは、どうしてもかんがえることができなかったほどであります。
灰色の姉と桃色の妹 (新字新仮名) / 小川未明(著)
それは丁度ちょうどおさなときからわかわかれになっていたははが、不図ふとどこかでめぐりった場合ばあい似通にかよったところがあるかもれませぬ。
きたない きものを きた こじきの ははおやが、いつつかむっつぐらいの どもを そばに すわらせて、おもちゃを やっているのでした。
一休さん (新字新仮名) / 五十公野清一(著)
貴方あなたなどは、才智さいちすぐれ、高潔こうけつではあり、ははちちとも高尚こうしょう感情かんじょう吸込すいこまれたかたですが、実際じっさい生活せいかつるやいなやただちつかれて病気びょうきになってしまわれたです。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
(この時の音楽おんがくはひときわかがやかしいものだった。)それから、はは食卓しょくたくに食物を運ぶ時の音楽おんがくもあった——その時、彼は喇叭らっぱの音で彼女をせきたてるのだった。
ジャン・クリストフ (新字新仮名) / ロマン・ロラン(著)
隣座敷となりざしきでは、はは燈芯とうしんをかきてたのであろう。障子しょうじきゅうあかるくなって、膳立ぜんだてをするおとみみちかかった。
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
かれは千八百六十三ねんペテルブルグでまれた。ちちはポルタワけん出身しゅっしん仕立屋したてやで、はは農婦のうふあがりだった。
身体検査 (新字新仮名) / フョードル・ソログープ(著)
きみこれきてこれけんとしていはく、「かうなるかな、ははめのゆゑ刖罪げつざいをかせり」と。きみ果園くわゑんあそぶ。彌子びしももくらうてあまし。((彌子))つくさずしてきみたてまつる。
ははやきょうだいが心配しんぱいしていますので、江戸えどのしんるいにといあわせましたが、だれも、自分じぶん政府せいふににらまれるのをおそれてか、ただの一どもへんじをくれません。
垂乳根たらちねはは繭隠まよごもりこもれるいもむよしもがも 〔巻十一・二四九五〕 柿本人麿歌集
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
つなちいさいときははわかれたので、母親ははおやわりにわたしがあの子をそだててやったのです。それがいまはえらいさむらいになったといって、せっかく遠方えんぽうからたずねててもってはくれない。
羅生門 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
ははさんと言ふは目の悪るい人だから心配をさせないやうに早く締つてくれればいが、わたしはこれでもあの人の半纒はんてんをば洗濯して、股引ももひきのほころびでも縫つて見たいと思つてゐるに
にごりえ (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
「おはは様も、叔父様も、乳母も和子様のおすがたが見えぬとて、どんなに、お探し申しているかしれませぬ。泣き顔をおふき遊ばして、すけと一緒に、はよう、お館へもどりましょう」
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ばうやはし、ははもなし。
とんぼの眼玉 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
んずる童女どうによははにより
泣菫詩抄 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫(著)
はは様、御免
胚胎 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
ながあいだ自然しぜん栄枯盛衰えいこせいすいてきた、偉大いだいははである太陽たいようは、まちけて焦土しょうどとなったそのから、した見下みおろして、こういいました。
春はよみがえる (新字新仮名) / 小川未明(著)
いよいよわたくし病勢びょうせいおもって、もうとてもむずかしいとおもわれましたときに、わたくし枕辺まくらべすわってられるははかってたのみました。
まだ おかあさまが じょうぶで、京都きょうとの はずれに すんでいました。さいごんじを でた 一休いっきゅうさんは、ひさしぶりに ははの もとを たずねていきました。
一休さん (新字新仮名) / 五十公野清一(著)
ねこわれたねずみのように、あわただしくんでたおせんのこえに、おりから夕餉ゆうげ支度したくいそいでいたははのおきしは、なにやらむね凶事きょうじうかべて、勝手かって障子しょうじをがらりとけた。
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
ソログーブが四つのときにちちんで以来いらいはははよそのいえ女中奉公じょちゅうぼうこうをして一人子ひとりごそだげた。
身体検査 (新字新仮名) / フョードル・ソログープ(著)
めに(七二)これふ。そつははこれいてこくす。ひといはく、『そつにして將軍しやうぐんみづか其疽そのしよふ。なんこくするをす』と。ははいはく、『しかるにあらず。往年わうねん呉公ごこう其父そのちちふ。 ...
憶良等おくららいままからむくらむそのははつらむぞ 〔巻三・三三七〕 山上憶良
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
じつは、中津なかつのいとこから、ははがきゅうに病気びょうきになったから、すぐかえってくるようにとしらせてまいりました。ふだんは、いたってじょうぶなほうでしたが、わからないものです。