“機会”のいろいろな読み方と例文
旧字:機會
読み方割合
おり20.3%
しお19.0%
きかい14.2%
はずみ10.3%
チャンス8.6%
きっかけ8.2%
をり5.2%
しほ4.3%
きつかけ2.2%
はづみ1.7%
とき0.9%
ひやうし0.9%
チヤンス0.9%
すき0.4%
とたん0.4%
はめ0.4%
ばあい0.4%
ひょうし0.4%
やま0.4%
チアンス0.4%
ツイデ0.4%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
けれども表向おもてむき兄の承諾を求めると、とうてい行われにくい用件が多いので、自分はつい機会おりを見ては母のふところに一人かれようとした。
行人 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
私が、こう、お受け答えいたしますと、小母さんは、話の機会しおを見付けられた様に、長煙管ながきせるを、火鉢の縁で、ぽんと、はたかれまして
こうした周囲しゅうい空気くうきは、ぼくをして、偶然ぐうぜんにもこころふかかんじたいっさいをける機会きかいをば、永久えいきゅうにうしなわしてしまったのでした。
だれにも話さなかったこと (新字新仮名) / 小川未明(著)
或日それをひそかに持出しコツコツ悪戯して遊んで居たところ、重さは重し力は無し、あやまって如何なる機会はずみにか膝頭を斬りました。
少年時代 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
ところで僕は、これが唯一の機会チャンスだと思うのだよ。つまり、犯人がピロカルピンを手に入れた——その経路を明瞭はっきりさせることなんだ。
黒死館殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
そこで、先刻さっき、君と飲倒れたまま遠島申附かった訳だ。——空鉄砲からでっぽう機会きっかけもなしに、五斗兵衛むっくと起きて、思入おもいいれがあったがね。
沼夫人 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
父が俳句にことよせて、京都にのぼつたのも、その志を遂げる機会をりを、見つけたかつたために違ひない、と良寛さんは思つた。
良寛物語 手毬と鉢の子 (新字旧仮名) / 新美南吉(著)
渠は心が頻りに苛々いらいらしてるけれど、竹山の存外平気な物言ひに、取つて掛る機会しほがないのだ。一分許り話は断えた。
病院の窓 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
おまけに奈良茂ならもがそのあとから、「かうなるとわれおれとはかたき同志や。今が今でも命のやりとりしてこまそ」つて、笑つたと云ふんだから機会きつかけが悪い。
南瓜 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
三千代みちよくちしたのは、どんな機会はづみであつたか、今では代助の記憶に残つてゐない。残つてない程、瑣末な尋常の出来事から起つたのだらう。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
社員しやゐん充満みちみちていづれも豪傑然がうけつぜんたり、機会ときにあたれば気は引立ひきたつものなり、元亀げんき天正てんしやうころなれば一国一城のぬしとなる手柄てがらかたからぬが、きしつゝみ真黒まつくろ立続たちつゞけし人も豪傑然がうけつぜんたり
隅田の春 (新字旧仮名) / 饗庭篁村(著)
と孝子は何かの機会ひやうしに訊いた。健は出かゝつた生呿呻なまあくびを噛んで
足跡 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
私は女等を追ひ越しながら、こんな絶好の場合に際して機会チヤンスを捕へなかつたことの愚を心に悔いた。
夏帽子 (新字旧仮名) / 萩原朔太郎(著)
猪はゆらゆらと揺らめいたが、クルリと頭を立て直し、低くその頭を雪に付け、爛々たる眼で武兵衛を睨み、蹴られないための用心に怒り毛の背を低く縮め、静かに機会すきうかがい出した。
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
席亭せきていの主人が便所へ出掛けて行く、中の役者が戸をあけて出る機会とたん、その女の顔を見るが否や、席亭せきていの主人は叫喚きゃっと云って後ろへ転倒ひっくらかえてめえまだ迷っているか堪忍してくれとおがみたおされ。
枯尾花 (新字新仮名) / 関根黙庵(著)
「それほどまでに思っていらしったものが、一体まあどうして別れなければならない機会はめになったのでしょう、何かそれには深い仔細があったのでしょうが。」
太郎坊 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
宗助そうすけの気を機会ばあいも、年に幾度と勘定かんじょうができるくらい少なくなったから、宗助は役所の出入でいりに、御米はまた夫の留守の立居たちいに、等しく安心して時間を過す事ができたのである。
(新字新仮名) / 夏目漱石(著)
そして、何かの機会ひょうしに飛びあがったところで、低くつるしてあった洋灯を頭で突きあげた。洋灯はひっくりかえるとともに、石油に引火して四辺あたりが火になった。
前妻の怪異 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
……コンナ機会やまは二度とねえんだぞ……しかも相手は毛唐けとうの娘じゃないか……構う事はねえ……やっつけろ……やっつけろ……。
白菊 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
彼女の長い睫毛まつげと濃い口紅は必ず招待的にほほえんでいるだろうし、すんなりと上げた脚は、失礼な機会チアンスの風にあおられた洋袴スカアト——多くの場合それは単にスカアトの名残りに過ぎないが——の下から
私は、此文の書き出しに、都合のよい機会ツイデに行きあうた様だ。文学史に向けて持つて来た、私の研究の立ちどの、知つて置いていたゞけさうなよい事情になつて来たことである。