麻繩あさなは)” の例文
新字:麻縄
醫者いしやすこ呼吸器こきふきをかされてゐるやうだからとつて、せつ轉地てんちすゝめた。安井やすゐこゝろならず押入おしいれなか柳行李やなぎがうり麻繩あさなはけた。御米およね手提鞄てさげかばんぢやうおろした。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
このさるは、だれ持主もちぬしといふのでもない、細引ほそびき麻繩あさなは棒杭ばうくひゆわえつけてあるので、あの、占治茸しめぢたけが、腰弁当こしべんたう握飯にぎりめし半分はんぶんつたり、ばつちやんだの、乳母ばあやだのがたもと菓子くわしけてつたり
化鳥 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
ほんの五六尺の麻繩あさなはですが強靭きやうじんたくましくて、これは全く物凄いものです。
宗助そうすけはまた行李かうり麻繩あさなはからげて、京都きやうとむか支度したくをしなければならなくなつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
中にはこれも眞新らしい半濕はんじめりの泥の附いたくはが一梃、それに頭の上には井戸替の時にでも使つたらしい手頃の麻繩あさなはが二三本輪にして掛けてありますが、その一本には、明かに血潮らしいものを
凄まじい恐怖きようふが、花火のやうに炸裂さくれつしたのも無理はありません。部屋の中に若い娘が一人、首に強靱きやうじん麻繩あさなはを卷かれ、その繩尻を二間ばかり疊から縁側に引いて、俯向うつむきになつたまゝ死んでゐたのです。
床の下のたくましいはりから垂れた握り太の麻繩あさなは