骨頂こっちょう)” の例文
◯今日キリスト信徒が自然研究を遺却していたずらに新著新説に走り、変りやすき理論を以て自己を養わんとするは骨頂こっちょうである。
ヨブ記講演 (新字新仮名) / 内村鑑三(著)
これも滑稽な話で、新撰組の屯所とんしょへ入る盗賊があると思うのも、あったと届けるのも、共に虫のよい骨頂こっちょうであるが、表面はそれで通った。
「わずか千早の城一つに、去年こぞいらい、関東二万余騎を金剛山の下に釘づけにされているなどは、愚の骨頂こっちょうだ。六波羅の一令にて、なぜこれへ呼び返さぬか」
私本太平記:08 新田帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「そうです、セルベン号の船長や、あなたのご主人たちに対して行なったように、皆殺しにしようというのです、やつらに慈悲心じひしんを求めるのは骨頂こっちょうです!」
少年連盟 (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
女子の悋気りんきはなほゆるすべし。男子が嫉妬しっとこそ哀れにも浅間あさましき限りなれ。そもそも嫉妬は私欲の迷にして羨怨せんえんの心憤怒ふんぬと化して復讐の悪意をかもす。野暮やぼ骨頂こっちょうなり。
桑中喜語 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
無茶苦茶に暗記をしたり、それから、また無茶苦茶に受験書を買いあつめたりするのは骨頂こっちょうだよ。そんな詰めこみ主義は役にたたんばかりか、むしろ反対に害がある。
新学期行進曲 (新字新仮名) / 海野十三(著)
が、たださえ人気にんき頂点ちょうてんにある菊之丞きくのじょうが、舞台ぶたいたおれたとのうわさは、たちまひとからひとつたえられて、いま江戸えど隅々すみずみまで、らぬはこけの骨頂こっちょうとさえいわれるまでになっていた。
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
するのが論外です。第三に命まで捨てるに至っては、それこそ骨頂こっちょうじゃありませんか。
素戔嗚尊 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
ものは方便、金がもの云う時世に生れて、変におかたいことを云うのは、馬鹿の骨頂こっちょうだ。
禰宜様宮田 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
世間が聴いてくれなくなった胡弓を弾きに雪の道を町まで行くなどはこけの骨頂こっちょうだろう。それでまた感冒にでもなって、女房たちにこの上の苦労をかけることになったらどんなにつまらないだろう。
最後の胡弓弾き (新字新仮名) / 新美南吉(著)
「師直。軍を退げろとは、わしにも言いおかれていたが、わしはいやだ。兄者あにじゃはそもそも、佐々木道誉をあまく見ている。いや恐れている! ばかな骨頂こっちょうだ!」
私本太平記:07 千早帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
おもてかざりをるなんざ大野暮おおやぼ骨頂こっちょうでげす。
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
馬鹿な奴だ! 意気地のない骨頂こっちょうの奴だ。
大菩薩峠:23 他生の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
しかし、弄策ろうさくも相手によりけりである。信雄が、家康を用いて、秀吉を牽制けんせいし、万一の持ち駒として家康を使おうなどという考えは、そもそも、相手を知らぬ骨頂こっちょうというほかはない。
新書太閤記:10 第十分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ついているのが愚の骨頂こっちょう
大菩薩峠:08 白根山の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
そんなことで嘆き悲しむなど、骨頂こっちょうというものです。およしなさいおよしなさい
三国志:05 臣道の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
知らぬ骨頂こっちょうというものだぞ
梅里先生行状記 (新字新仮名) / 吉川英治(著)