騎士ナイト)” の例文
「勇敢な騎士ナイトを見よ——だ。かうなれば俺は、もうこのまゝ、どんな火の上だつて、水の中だつて、このお姫様は離さないよ——だ。」
熱い砂の上 (新字旧仮名) / 牧野信一(著)
我が国中古は封建時代と称し、各地に大名が割拠かっきょしていた。その大名には騎士ナイトと称する仁義兼備の若武者が、武芸を誇って仕えていた。
普通、草双紙なり、読本なり、現代一種の伝奇においても、かかる場合には、たまたまきたって、騎士ナイトがかの女を救うべきである。
灯明之巻 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
そしてその花形の人、神崎の苦ミ走った容貌と外出の騎馬姿は、おとぎ話の中の騎士ナイトのようにぼくら子供の眼には映じて、ひどく印象的だった。
優にやさしき騎士ナイト達は、行列を作って夜もすがら、セレナーデを歌いかなで続けて、お艶の一顧を得ようとするのでしょう。
それが、丁度中世紀の騎士ナイトが、貴婦人を護る時のやうに、儼然として立つていらつしやるのですもの。わたくし可笑しくもあれば、有難くも思つたわ。
真珠夫人 (新字旧仮名) / 菊池寛(著)
ほんとに、あんたが見てくれたらと思ふのだけれど、一匹ね、お隣りの垣根を越えてやつて來る騎士ナイトがあるのよ、トレゾールつて名前なんだけれど……。
狂人日記 (旧字旧仮名) / ニコライ・ゴーゴリ(著)
「僕は、あなたの餌食えじきになるには、あまりに骨ばっています。もっと若くて美しい騎士ナイトたちが沢山居ますから、その方を探してごらんになってはどうですか」
人造人間殺害事件 (新字新仮名) / 海野十三(著)
そして、イングランドとアイルランドとの両方に、大きな領地を所有する身分となり、錫鉱山の経営者であり、コオンウォルの副総督であり、騎士ナイトであり、海軍中将であった。
これによると、大アルメニアの大僧正が、セント・アルバンスを訪れた時に、通訳の騎士ナイトが大僧正はアルメニアで屡々しばしば「さまよえる猶太人」と食卓を共にした事があると云ったそうである。
さまよえる猶太人 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
私は樂器を奏でる この騎士ナイトの唇を 花粉が染める
南窗集 (旧字旧仮名) / 三好達治(著)
あはれ騎士ナイトが戦ひに破れし青銅ブロンズの盾にふりそゝぐしろがねの涙ともならば、と祈らむにも力は尽きぬ——金のつるもて張れるわが喜びの琴は
嘆きの孔雀 (新字旧仮名) / 牧野信一(著)
乳のふくらみを卓子テエブルに近く寄せて朗かに莞爾にっこりした。そのよそおい四辺あたりを払って、泰西の物語に聞く、少年の騎士ナイトさわやかよろったようだ。
薄紅梅 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
それが、丁度中世紀の騎士ナイトが、貴婦人をまもる時のように、儼然げんぜんとして立っていらっしゃるのですもの。妾可笑おかしくもあれば、有難くも思ったわ。
真珠夫人 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
優にやさしき騎士ナイト達は、行列を作つて夜もすがら、セレナーデを歌ひかなで續けて、お艶の一を得ようとするのでせう。
イワン・フョードロヸッチは物馴れた騎士ナイトのやうに、先づ最初に老婆の手に、次ぎに二人の令嬢の手に接吻した。
騎士ナイトよ」と云い出したものである。それからしゃがれ声で笑い出してしまった。笑いおえると云ったものである。
神秘昆虫館 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
騎士ナイトが悟って、おかしがって、笑う事笑う事、上身をほとんど旋廻して、よろい腹筋はらすじる処へ、以前のが、銚子を持参。で、入れかわるように駆出した。
薄紅梅 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「何んの馬鹿らしい、考えてみれば、せっかく昆虫館をさがしてた結果、いったい何を得たかというに、あの『騎士ナイトよ』という言葉だけだったってものさ」
神秘昆虫館 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
娘の美色は、セレナーデを奏する塀外の騎士ナイト達ばかりでなく、肉身の親までも白痴ばかにして居る様子でした。
もし勝彦が、聡明そうめいな青年であったならば、簡単に率直に、しかも貴夫人を救った騎士ナイトのように勇ましく
真珠夫人 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
娘の美色は、セレナーデを奏する塀外の騎士ナイト達ばかりでなく、肉親の親までも白痴ばかにしてゐる樣子でした。
騎士ナイトよ」と桔梗様は笑いながら云った。「大岩の蔭や小梅田圃などで、むやみと太刀を揮わないように」
神秘昆虫館 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
欄干にもたれて東海道を覗いた三島宿の代表者。……これが生得うまれつき絵を見ても毛穴が立つほど鼠がきらいなんだと言います。ここにおいて、居士が、騎士ナイト鬢髪びんぱつを染めた次第です。
半島一奇抄 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
瑠璃子に、さう問ひ詰められると、勝彦は顔をあからめながら、モジ/\してゐた。もし勝彦が、聡明な青年であつたならば、簡単に率直に、しかも貴夫人を救つた騎士ナイトのやうに勇ましく
真珠夫人 (新字旧仮名) / 菊池寛(著)
美しい新造しんぞうが何か頼み事を持って来ると、すっかり騎士ナイト気分にならずにいられないガラッ八だったのです。
桂子その人に捧げている、小次郎の心持ちというものは、あの泰西たいせい騎士ナイトなる者が、自分を庇護ひごしてくれる貴婦人に向かって、捧げているところの心持ちと、ほとんど変わりないものであった。
あさひの鎧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)